元F1ドライバーのクルサード、古巣レッドブルに対し「批判をただ受け入れなければいけない」と自論を展開

 元F1ドライバーのデイビッド・クルサードは、彼の古巣のチームであるレッドブルに対し、“くだらない”不当な攻撃に苛立ったり腹を立てるのではなく、メディアやファンからの批判を受け入れることを学ぶように忠告している。

 レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、2021年のタイトル争いが終わりに近づくにしたがって、メルセデスのトト・ウォルフとますます辛辣な論争を行うようになっていた。また、メキシコGPのレースウイーク中にレッドブルは『Sky Sports』をボイコットした。その前のレースでピットレーンレポーターのテッド・クラビッツが発したコメントに異議を唱えていたからだ。

 クルサードは、他のチームがそれ以前にそうしなければならなかったように、ホーナーとレッドブルも今後は論争を避け、同意はせずとも批判を受け入れることを学ぶ必要があると語った。

「たとえば、フェラーリがイタリアで毎日どれだけの批判にさらされているか、想像することしかできない」とクルサードは今週『Mirror Sport』に語った。

「マクラーレンは一部の批判に敏感だと思うし、メルセデスも支配的だった時代に批判を受けていた。それをただ受け入れなければいけない」

「もちろんレッドブルとクリスチャンは、自分たちのやっていることに対するどんな批判にも敏感になるだろう。それは個人的なことだからだ」

2022年F1第15戦オランダGP (左から)レッドブル代表クリスチャン・ホーナー、マックス・フェルスタッペン、モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコ

「古い表現だが、(元レッドブルのチームメイトの)マーク・ウエーバーがよく使っていた言葉がある。『誰かの立場を理解するには、その人の靴を履いて1マイル(約1.6km)歩かなければならない』というものだ。メディアに関して言えば、彼ら全員にそれぞれ特有の視点に基づいて、シナリオや出来事を解釈する権利がある」

「数多くのメディアがある。怒りを覚えていたり、極端に意固地な意見を持つ人にとっては、影響を受ける可能性のある人たちと話をするチャンスになる」

「ピアース・モーガンのスタイルのように、極端な立場を取ると、中傷となるラインを超えずに話題にすることができる。それは優れた『ビジネスジャーナリズム』と言えるだろう。なぜなら記事やコメントに人々を引きつけているからだ」

「誰かが教育を受けた、筆の立つ人だからといって、そうした人々がビジネス志向ではないということにはならない。ちょっとした論争は宣伝を盛り上げるための良い方法だ」

「私はドライバーだった経験からF1を見ているので、他の人々が関心を持たないような多くのことに意見を持っている。だからといってそうした意見が有効ではないという意味ではない」

「自分に同意してくれたり、耳触りのいいことを言ってくれる人々を通してしか物事を見ないとしたら、人生における視野が非常に狭くなってしまうだろう」

 クルサードは2005年から2008年までレッドブルでレースをし、それ以前はウイリアムズとマクラーレンに所属していた。現在はイギリスの『Channel 4』のF1放送のプレゼンターのひとりであり、しばしばレース後の表彰台インタビューを行っているほか、レッドブルのジュニアチームであるアルファタウリのコンサルタントも務めている。

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