「脱毛エステ」消費相談が急増 30代以下、支払い関係が大半 栃木県内2022年度上半期、前年1年間の3.8倍

脱毛エステに関する消費相談

 脱毛エステを巡る消費相談が栃木県内で急増している。県消費生活センターによると、2022年度上半期の脱毛エステ関連の苦情や相談の件数は186件で、21年度1年間の49件に比べ3.8倍に増加。30代以下から寄せられた件数が8割に上った。内容は支払いに関するものが大半を占めた。交流サイト(SNS)などにより、脱毛に対する若い世代の関心が高まっているとみられ、消費者問題の専門家は「契約は慎重に行ってほしい」と呼びかけている。

 センターによると、脱毛エステ関連の苦情や相談のうち、30代以下からの相談は152件に上り、全体の件数を押し上げた。このうち女性が143件で大半を占め、20代が84件で最多。30代が35件、19歳以下が24件と続いた。男性も30代以下で9件の相談があった。

 内容は、通っていた大手全国チェーンのエステ店が破産した後の代金の支払い継続についてや、お試しの施術や勧誘を受けた後にその場で高額な契約をしてしまい、解約を希望するといったものが大半だった。

 県などによると、脱毛はSNSでの広告の影響などで、近年若い世代に浸透しているとみられる。女性は脇、男性はひげの脱毛が人気で、18歳への成人年齢引き下げに伴い、10代の利用客も増えているという。

 脱毛エステを含む「理美容」への関心の高まりを指摘する声もある。業界団体の一つは新型コロナウイルス禍によるリモート会議で、モニターに映る自分の顔を見る機会が増えたことなどの影響を説明する。担当者は「外出自粛ムードもあり、娯楽にかけていたお金を美容に使うようになったのでは」と推測した。

 消費者問題に詳しい服部有(はっとりゆう)弁護士(40)は「脱毛エステなどの美容サービスは個人の関心の高さが契約に影響する」とし、実際よりもサービスの効果を良く見せている疑いがあるケースもあるという。「契約の際には最終的な支払額を見越してほしい。宣伝には惑わされないで」と注意を促している。

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