ダカールラリー前半戦最後のステージ8はローブが優勝。総合首位はトヨタのアル-アティヤ

 1月8日、2023年のW2RC世界ラリーレイド選手権開幕戦『第45回ダカールラリー2023』のステージ8が行われ、BRXハンターT1+を駆るセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム)が今大会2度目のステージウインを飾った。

 2週間にわたって続く過酷なラリーも折り返しを迎え、競技8日目のステージ8で前半戦が終了した。アル・ドゥワディミから首都リヤドに戻る822.94kmのルートのうち346kmのスペシャルステージ(SS)で争われたこの日は、カルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ)が終始好走を見せトップタイムでフィニッシュした。

 しかし、60歳のレジェンドは30km/h制限エリア内で40km/hを超える速度を出したとしてペナルティの対象に。5分のタイムペナルティを受けた結果、ステージ3番手に後退している。これにより2番手タイムを記録していたローブが繰り上がりでステージ優勝の権利を手にした。同様に3番手でフィニッシュしたナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing)が2番手に繰り上がっている。

■大会2連覇を目指す“砂漠の王”が首位を堅持

 競技3日目のステージ3以降、総合首位の座を守り続けているアル-アティヤは、ラリーの前半戦を終えた段階で総合2番手につけるチームメイト、ヘンク・ラテガン(TOYOTA GAZOO Racing)に対して1時間03分46秒のリードを築いている。

 また、ダカールルーキーながらトップ3圏内を走るルーカス・モラレス(オーバードライブ・レーシング)に対してはさらに16分のアドバンテージを有し、ステージ8終了時点で総合5番手から4番手に順位を上げたローブとは1時間52分06秒のギャップがある。

「(ステージ8の)序盤は本当に慎重に走り、おかげで今日はノーパンクだった。後半の砂丘に到着してからは(ペースアップを図り)プッシュした」とステージ8を振り返ったディフェンディングチャンピオンのアル-アティヤ。

「僕たちは最初から総合順位でのアドバンテージを築くために頑張ってきた。(後半戦ではW2RCの)チャンピオンシップポイントを獲得するために、すべてのステージでトップ3に入りたいと思っている」

「来週は砂丘がたくさんあるので、楽しみにしている」

痛恨のスピード違反でステージウインを剥奪されることとなったカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2) ダカールラリー2023
総合5番手のジニエル・ド・ヴィリエール(GRダカールハイラックスT1+)と総合4番手に浮上したセバスチャン・ローブ(BRXハンターT1+) ダカールラリー2023
ダカールルーキーのルーカス・モラエス(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2023
ステージ8を制したロス・ブランチ(ヒーロー450ラリー) ダカールラリー2023

■二輪部門はトップ3が13秒差の接戦に

 前日のステージキャンセルを経て2日ぶりにラリーに戻ってきた二輪部門では、ロス・ブランチ(ヒーロー・モータースポーツ・チーム・ラリー)が今大会初のステージウインを達成。ダニエル・サンダース(レッドブル・GASGASファクトリー・レーシング)、メイソン・クライン(バス・ワールド・KTMレーシングチーム)を抑えたボツワナ人ライダーがヒーロー・モータースポーツに2度目のステージ優勝をもたらした。

 スカイラー・ハウズ(ハスクバーナ・ファクトリー・レーシング)はこの日、トップから16分遅れてステージ20番手に甘んじたが、かろうじて総合首位の座をキープした。総合2番手につけるケビン・ベナビデス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)とはわずか13秒差。同4番手から3番手に浮上したクラインも同じく13秒差でトップを追っている。

 トビー・プライス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)も順位はふたつ下げたが、首位ハウズとのタイム差はステージ6終了時の3分31秒から1分58秒に縮めている。総合5番手のパブロ・キンタニラ(モンスターエナジー・ホンダ・チーム)とハウズのギャップは2分45秒だ。

■TLC、日野チーム・スガワラ、両チームとも前半戦を走破

 四輪市販車部門10連覇を目指すチームランドクルーザー(TLC)は、新型トヨタ・ランドクルーザー・GRスポーツを駆るロナルド・バソがステージ102番手/総合98番手でステージ8を走破した。また、チームメイトで同じくランクルのニューモデルをドライブする三浦昂はステージ104番手/総合124番手でラリー前半戦を締めくくり、2台が四輪市販車部門でワン・ツーを築いている。

 前日にトラック部門8番手タイムを記録する好走を見せた日野チーム・スガワラの菅原照仁は、この日もステージ9番手タイムをマークし連日のトップ10フィニッシュを決めた。総合順位は部門14番手だ。

 1月9日(月)はダカールラリー2023唯一の休息日となっており、2週目の後半戦に向けて英気を養う一日となっている。翌10日(火)のステージ9は、リヤドからハラドに向かうルートでSSの全長は358km。リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は686kmだ。

ステージ2番手となったダニエル・サンダース(GASGAS 450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023
ヒーロー・モータースポーツに2度目のステージウインをプレゼントしたロス・ブランチ(ヒーロー450ラリー) ダカールラリー2023
総合4番手に順位を下げたトビー・プライス(KTM 450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023
辛くも二輪総合首位を守っているスカイラー・ハウズ(ハスクバーナ450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023
日野チーム・スガワラの日野600ハイブリッド(菅原照仁/染宮弘和/望月裕司) ダカールラリー2023
今大会2度目のステージウインを達成したセバスチャン・ローブ(BRXハンターT1+) ダカールラリー2023
総合2番手につけるヘンク・ラテガン(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2023

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