サクラサケ! 新種「クマノザクラ」朝霞で植樹 関東以北の公共施設で初 関西の野生種、環境適応なるか

記念の植樹式で「クマノザクラ」の苗木に土をかける小酒井淑乃・都市緑化機構統括部長(左から)と直木哲・同環境緑化技術共同研究会緑化技術分科会長、富岡勝則市長=朝霞市役所庁舎前(朝霞市提供)

 埼玉県朝霞市は、同市役所庁舎前の緑地「花の池テラス」に、関西地方で新たに発見されたサクラの野生種「クマノザクラ」の苗木2本を植樹した。市の都市緑化の推進などを相互協力する「みどり豊かなまちづくりのための包括連携協定」を締結した公益財団法人「都市緑化機構」(横張真理事長)が寄贈した。都市緑化の調査研究に貢献するとともに、市民らに多様な花木を観賞する環境を提供するのが狙い。

 市によると、クマノザクラは2018年、奈良県と和歌山県、三重県にまたがる海岸線の急斜面から標高800メートル付近の尾根で自生しているのを国立研究開発法人「森林研究・整備機構森林総合研究所」の調査で確認された。ヤマザクラやミヤマザクラなど野生種のサクラとしては、100年ぶりの新発見だった。

 樹高は林内で12~16メートル、単木で6~8メートル。葉の大きさは約8センチでソメイヨシノより小さく、花の色は白色から淡紅色(うす紅色)で観賞価値は高い。開花時期はソメイヨシノより早く、2月下旬から咲き始める。

 現在、都市緑化機構は千葉県木更津市の圃場で、クマノザクラの試験育成に取り組んでおり、この中の苗木(高さ約2メートル)を寄贈した。関東以北の公共施設で苗木が植栽されたのは朝霞市だけという。

 市は「関東の環境に適応できるかどうか分からないが、成長してくれれば、今年または、来年に花を咲かせてくれると思う」と順調な育成に期待を寄せている。

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