世界1位に「戻りたい」 ラームは現在のベストプレーヤーを自負

家族が見守るなか、劇的な逆転優勝を果たしたジョン・ラーム(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇セントリートーナメントofチャンピオンズ 最終日(8日)◇プランテーションコースatカパルア(ハワイ州)◇7596yd(パー73)

33アンダーをマークしながら勝てなかった前年大会の悔しさを晴らすように、5位から出たジョン・ラーム(スペイン)が最終日を1イーグル9バーディ、1ボギーの「63」でプレー。トップを走っていたコリン・モリカワとの7打差をひっくり返す通算27アンダーで逆転優勝を遂げた。

出だしの1番でボギーが先行。自らのミスにより、首位との差をさらに広げてしまったことがラームの闘争心に火をつけた。「もっと大きな奇跡が必要だと思った。そのためにも小さなことをきちんとやるしかないって」。2番(パー3)でバーディを奪いバウンスバックを決めると、4番から3連続バーディを奪取。9番(パー5)でも一つ伸ばしてサンデーバックナインに向かった。

伸び悩むモリカワとは対照的に、ラームはさらに加速する。12番で409ydのビッグドライブからバーディにつなげると、13番、14番でもバーディ、15番(パー5)では2オン1パットのイーグル。「15番でイーグルチャンスにつけたときに、このパットを入れれば(モリカワと)1打差になることに気付いた」と認識していたが、実際には直後にモリカワが14番をボギーとして首位に並んでいた。

モリカワが後半2つのパー5でバーディを奪うことを想定し、「できるだけ30アンダーに近づける」ことを目標に置く。しかし、モリカワは15番で痛恨のボギー。17番のセカンド地点とグリーンの間にあるリーダーボードを見て「まさかリードしているとは思わなかった」と振り返る。2打リードで迎えた最終18番(パー5)では2打目を狭いグリーン左サイドにつけ、1.5mのバーディパットを沈めて力強く拳を握りしめた。

最終18番のアプローチショット。1.5mにつけて勝利を引き寄せた(撮影/田辺安啓(JJ))

ちょうど1年前は世界ランキング1位に君臨していた。2022年3月下旬以降は「WGCデルテクノロジーズ・マッチプレー」と「マスターズ」を制したスコッティ・シェフラーにその座を奪われ、23年は5位からのスタート。それでも、「昨年8月以降は僕が世界でベストプレーヤーであると思う」という自負があった。22年8月からは1試合を除いて全てトップ10入りをしており、そのうち欧州ツアー(DPワールドツアー)2試合で優勝した。

「(1位に)到達してもそこに留まることがとても難しいのは分かっている。でも、まずは戻りたいね」。新年初戦で遂げた幸先の良いスタートにより、ナンバーワンの称号に返り咲きたい思いは、より強まった。(ハワイ州カパルア/石井操)

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