写真館、音楽スタジオ、エステもセルフ化 対面避けたい客と人員抑えたい店に利点

プロ仕様の機材で撮影を楽しむ女性たち(京都市中京区・セルフ写真館Selka)

 店員との関わりが少ない「セルフサービス」の店舗が幅広い業種に広がってきた。新型コロナウイルス禍で人との接触を避ける心理が定着したうえ、対面の接客サービスが苦手な若い世代が増えているためで、専門的な機材を自由に使える写真館や音楽スタジオ、エステサロンなど新しいサービスが生まれている。

 京都市中京区の河原町通沿いにある写真スタジオ「セルフ写真館Selka」。プロ仕様のカメラや照明のほか、小道具のぬいぐるみなども並ぶ。

 妊娠中の姿を思い出にするため記念撮影に訪れた大阪府枚方市の夫(32)と妻(32)は、ライトやセットなどの設備も使って「自撮り」に挑戦した。画像データを見て「プロに撮ってもらったような仕上がりです」と満足そうだった。

 利用価格は15分間で1人1500円。プロのカメラマンに依頼するのに比べると大幅に安く、着物姿の観光客や地元の若者らを中心に週100組程度が訪れるという。経営する里美稔さん(50)は「カメラマンがいないことで緊張せずに撮影できる点も若い子にとっては魅力だと思う」と話す。

 同区の音楽スタジオ「field STUDIO」では、スタジオの機材を使って1人で楽曲を収録する「セルフレコーディング」の希望者が増えている。オーナーの州崎一彦さん(64)は「曲作りをパソコンで行う人が増えていることが要因だと思うが、全部自分でやりたいというニーズがレコーディングにも現れてくるとは」と驚く。

 ギョーザの無人販売店舗をはじめ、コロナ禍で続々と登場したセルフサービスの店舗。事業者側は従業員を増やす必要がないため、今後も増える可能性がある。

 2022年3月に中京区に開業したセルフエステ店「美と哲学」は、スタッフは受け付け業務を行うだけで、サービスは来店客に任せている。動画を見ながらプロ仕様の高価な機器を利用できるといい、運営会社の太田成沙さん(30)は「勧誘や接客を受けたくないという若い利用者の思いに応えられる」と利点を語る。

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