第26回参議院選挙が終わり、選挙関係の報道もほとんど見聞きすることがなくなりました。
選挙が始まる前は有権者の生活環境等の調査結果が盛んに報道されるのですが、選挙終了後はそれらに関する報道が流れることは少なくなります。
そこで国民生活の状況について、選挙後にもう一度振り返ってみたいと思います。
賃金動向の変化
まず最初に賃金動向の変化について観察していきます。
電気、ガス、水道料金等、公共料金の値上げが続いており、この値上げがいつまで続くかについての報道が頻繁に流れます。
これらの料金が上昇しても、賃金、年金支給額が公共料金等の値上げ分以上に増えていれば、これまでどおりの生活を維持できるのですが、実際はどのようになっているのでしょうか?
賃金がどのように推移しているのかについて、独立行政法人労働政策研究・研修機構のデータを用いてグラフ化してみました。
グラフにしたのは企業規模が30人以上の事業所です。
図1を見ると、1990年代後半から賃金が低下傾向にあり、賃金がなかなか上昇していないことがわかります。
賃金が上がらない有権者が重視する問題とは?
このような状況なので、2022年9月11日に実施された沖縄県知事選挙でも、各候補者が物価高騰についてなんらかの対策をとる旨をSNS上に書き込んでいました。
実際に有権者が選挙で投票する際に重視する内容として重視する内容として、経済、雇用、医療、年金等の生活に密着した事柄を重視するので、それらに対する方策を各候補者がSNS等に書き込むのも理解できます。
昨年(2021年10月)に執行された第49回衆議院選挙でも、医療・介護、景気対策、コロナ対策、年金といった内容が、有権者が投票する際に重視する内容として上位にきています。
有権者は生活に使える金額が減っている
このところ物価上昇しているにも関わらず、賃金の伸びはあまり見られず、年金支給額が減額され、そして消費税率も上昇していますので、生活に使える金額が減っていることが推測されます。
少なくとも円高状況であれば、商品価格の上昇を抑えられたのかもしれませんが、円安傾向が続く現在では商品価格が上昇する傾向が続くことが予想されるので、これまでどおりの生活環境を維持するにはより多くの費用がかかる日々が続きそうです。
生活に欠かせないインフラ料金も増加
そして、生活に欠かせないガス、電気といった料金がどの程度の値上がりしているのかについてグラフ化したものが下記になります。
データは総務省 小売物価統計調査 東京都区部市データからのものです。
図3 都市ガス、プロパンガス、電気料金の推移
2021年中頃から電気代、都市ガス代が上昇していることがわかると思います。
特に電気代の上昇が急激に進んでいるようです。
また、通勤等に自家用車を利用する人も多いと思いますので、
ガソリン料金等についてもグラフ化をしてみました。
データは資源エネルギー庁のものです。
図4、図5では2020年5月からガソリン、軽油価格が上昇していることがわかります。
生活に欠かせない電気ガスガソリン等の価格が上昇し、各種食品価格も2022年9月が行われ、2022年10月にはさらに各種商品価格の値上げが行われることが予定されていますので、生活環境はこれまで通りに維持できる人は少なくなるのかもしれません。
このような各種値上げが続く中、自治体によっては水道料金・下水道使用料の減免をする動きも出ています。
各地方公共団体の財政状況等にもよるのでしょうが、減免を実施する自治体に住む有権者にとっては、生活費を抑えることができることになります。
過去日本の首相はどのような発言をしていたのか
現在のような物価上昇が続いている中で生活をしていると、過去、日本の首相はどのようなことを発言していたのか気になります。
国民に対しどのようなメッセージを発していたのか首相の所信表明演説を国会議事録で確認してみます。
第一次オイルショック時代(1973年〜)に首相であった三木武夫首相の所信表明演説*を読むと、国際通貨秩序、食糧不足、石油危機、世界的インフレの進行、政治的不安定化等について触れられており、現在と重なる部分が多いことがわかります。
(1974年12月14日、1975年9月16日、1976年9月24日)
このような状況下において三木武夫首相は社会的弱者の生活安定対策について触れています。
物価高が続く2022年9月1日現在、首相である岸田首相は国民に対しどのようなメッセージを出すのでしょうか?
海外報道を見ていると、ドイツなどでは労働者に対して燃料費を直接支払うような案もあるようですが、日本ではどのような対策が打たれるのでしょうか?
まとめ
消費税、年金問題等、生活と密接に関連した内容について大きな問題が生じたあとの選挙では、選挙結果に大きな変化が現れることがたびたびありました。
国政選挙はしばらくはありませんが、地方選挙から少しずつ選挙結果に変化が出てくるのかもしれません。
今回は選挙の際に有権者が投票先を決める際に最も重要視する経済動向について観察してきました。