【実はこれが日本一】最もアルコール度数が高い「日本酒」はウォッカ並みの46度

日本一高い山は「富士山」、日本一大きな湖は「琵琶湖」、日本一高いタワーは「東京スカイツリー」など、有名な日本一はいろいろありますが、あまり知られていない、ちょっと意外な日本一を紹介するシリーズ「実はこれが日本一」。今回は、年末年始に口にする機会の多かった人も多い(はずの)日本酒の日本一を紹介します。

ウォッカの平均的な度数と同じくらい

年末年始に人と集まったり、何か神聖な行事に参加したりすると、日本酒を口にする機会がいつもよりも増える気がしますが、いかがでしょうか。

日本には酒蔵がいくつもあって、それこそ多種多様な清酒が日本各地からリリースされています。しかし、それだけたくさん銘柄があっても、アルコール度数といえば、だいたい15度前後が一般的です。

そんな状況の中、アルコール度数が46度もある日本一の「日本酒」が存在するとご存じでしたでしょうか。新潟県にある老舗・玉川酒造の『越後武士(さむらい)』です。

アルコール度数46度といえば、「強いお酒」の代名詞であるウォッカの平均的な度数と同じくらい。すさまじいですよね。

冷凍庫に入れても凍らない

ただし、厳密にいうと、この『越後武士(旧・越後さむらい)』は、日本で日本酒としては販売されていないそうです。

もちろん、製造方法は一般に流通している日本酒と同じ。日本酒っぽいパッケージで売られています。しかし、酒税法における「清酒」の分類の定義が2006年(平成18年)に変わり、新酒税法では「清酒」から、

<アルコール分が22度以上のものを除外>(税務署「酒税法等の改正のあらまし」より引用)

するようになってしまったため、日本酒として売れなくなってしまったのですね。

どうして新酒税法では、清酒=日本酒からアルコール分22度以上の飲み物を除外してしまったのでしょうか。

蓮尾徹夫「酒税法改正について」という論文によると、日本酒の原料である酒米の発酵によって得られるアルコール度数は、もともと上限が21度台だったそうです。この度数を超えるアルコール飲料は、本来の日本酒の定義にふさわしくないと評価され、外されたのだとか。

『越後武士』も、純米吟醸酒に、米からつくって2年熟成させた醸造アルコールを足して、度数を高めています。その意味で、酒税法の分類上、生粋の清酒=日本酒とは、言えないそう。

しかし、製造方法自体は繰り返しますが、一般に流通している日本酒と同じです。また、漫画『BARレモン・ハート』(古谷三敏原作/双葉社)によると、アルコール度数が高いながらも、日本酒の味わいはしっかり残っているようです。

ウォッカと同じくらいのアルコール度数らしく、冷凍庫に入れても『越後武士』は凍りません。公式サイトには、ウォッカと同じく、一般家庭用の冷凍庫で保存すると、とろりとした舌ざわりを楽しめる、ユニークな「日本酒」だとも書かれています。

1673年(寛文13年)創業の酒蔵がつくる、日本一アルコール度数の高い「日本酒(日本酒リキュール)」。この年末年始にいろいろな銘柄を口にしてあらためて日本酒ファンになった人は、こちらも併せて楽しんでみると、日本酒の奥深さがまた違った形で満喫できるかもしれませんね。

[参考]

越後武士 - 玉川酒造株式会社

酒税法等の改正のあらまし(酒類製造者向け) - 税務署

酒税法改正について - 蓮尾徹夫

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