V長崎始動 チャンスの年、J1昇格へ「最高の気持ちでスタート」

J1昇格に向け、全体練習を始めたV長崎の選手たち=諫早市サッカー場

 サッカーJ2のV・ファーレン長崎は9日、2023年シーズンに向けて始動した。約1カ月半ぶりにクラブハウスがある諫早市サッカー場で全体練習を実施。多くのファンが見守る中、ストレッチやボールを使った練習を精力的にこなした。
 例年、外国人選手は遅れて合流するが、今年はカリーレ監督の意向で初日から合流した。
 昨季はスタートダッシュに失敗し、2年続けてシーズン途中に監督が交代。6月にブラジル人指揮官が就任し、一時は4位まで浮上したが、終盤戦に失速して11位に終わった。今季は上位2チームが自動昇格するのに加え、3~6位のプレーオフで優勝したチームが入れ替え戦なしで昇格切符を手にするチャンスの年。カリーレ監督は「J1昇格の目標達成のために最高の気持ちでスタートが切れた。選手のモチベーションも高くなっている」と手応えを口にした。
 今週は、諫早で筋力測定など2部練習を中心に行い、15日には諫早文化会館で決起集会などを実施する予定。17~28日に沖縄で1次キャンプ、29日~2月4日に宮崎で2次キャンプに臨む。開幕節は2月18、19日のいずれかに昨季10位の千葉をホームに迎える。今季の日程詳細は1月20日に発表される。

◎今季の陣容「高さ」「若さ」を補強 チーム内の活性化図る

 今季のV長崎の陣容が整った。昨季の弱点と捉えていた「高さ」と「若さ」を軸に即戦力級を的確に補強し、各ポジションで活性化を図る。センターラインは高身長の選手で固め、サイドには突破力のあるアタッカーを複数獲得。選手は昨季当初の28人から4人増の32人で動き出す。
 前線での最注目はJ1福岡から移籍してきたFWフアンマ・デルガド。圧倒的なポストプレーとキープ力を武器に攻撃の起点となる。個の能力もさることながら、仲間を最大限に生かすプレーは2017、18年シーズンのV長崎で証明済みだ。

今季のV長崎メンバー、移籍・退団

 サイドには川崎から期待の若手だった21歳の宮城、大分から25歳の増山が加入。そのスピードはJ2屈指となりそうだ。仙台から復帰した24歳の名倉も相手MFとDFの間でボールを受け、狭いところで変化をつけることができる昨季のV長崎にいなかったタイプ。チームの心臓となるボランチは1人を除いて既存メンバーで、このポジションの出来が上位進出の鍵を握る。
 DF陣はセンターバックの4人が去り、4人が加入。全員が180センチ以上で空中戦や対人に強さがある。今季のライバル清水から加入したヴァウドは過去3年、J1で計70試合に出場。今津は中央と右サイドバックをこなし、持ち前のガッツでチームを鼓舞できる。3バックを試す可能性があり、オプションが増えそうだ。
 GK波多野は198センチのチーム最長身。各世代別日本代表に選ばれた実績がありながら、昨季はFC東京で控えに甘んじた。出場機会を求めて移籍を即決。日本代表GKを育てた石野GKコーチの下でまずはチーム内で競争力を高め、先発の座を奪いにかかる。
 江川、植中といったV長崎の将来を担える若手のJ1流出は痛手だったが、昨季特別指定で出場した白井をはじめ、十分なポテンシャルを秘めたルーキー3人が加入。チームの底上げには若手の成長が欠かせない。


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