2022年 東大・京大で一番読まれた本は、國分功一郎『暇と退屈の倫理学』! オードリー若林正恭も絶賛、現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を鋭く指摘したベストセラー

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫刊)が、東大生協本郷・駒場書籍部両店、京大生協ショップルネ書籍コーナー文庫2022年1月~12月実績で1位を獲得。“2022年東大・京大で一番読まれた本”となった。昨年1月に新潮文庫より刊行後、部数を伸ばし続け、発行部数は14万部を突破している。

『暇と退屈の倫理学』とは

気鋭の哲学者である著者が、現代社会において暇と退屈が抱える問題点を、歴史的な視点と、スピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先哲の教えを横断しながら紐解いた本。 初刊は2011年10月に朝日出版社より刊行。その後、2015年3月に太田出版より増補新版が出ており、本書はこちらの文庫化となっている。初刊刊行時より、第2回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞するなど、人文書としては異例の話題を呼んだ。刊行より10年以上経つ現在も、入試問題や高校の国語の教科書に採用されているロングセラーだ。

文庫化を経て新しい読者を獲得

本書の読者が一番一緒に読んでいる本は、同じく哲学者の千葉雅也による『現代思想入門』(講談社現代新書)だったが、それを除けば上位にランクインするのは決して人文書ではないことが購買データから分かる。 年代別に見た購買層で最も多くを占めたのは40代の読者。読書が併買した書籍としては、成田悠輔『22世紀の民主主義』(SB新書)やアンデシュ・ハンセン『運動脳 新版・一流の頭脳』(サンマーク出版)といった、ビジネス書が上位に入った。 また、40代の次に多かったのは20代の読者。20代読者に一番本書と共に読まれた本は、本書の帯に推薦コメントを寄せている芸人、オードリー若林正恭のエッセイ『ナナメの夕暮れ』(文春文庫)。他にも、アーティストの星野源のエッセイ『いのちの車窓から』(角川文庫)やTVプロデューサーの佐久間宣行の『佐久間宣行のずるい仕事術』(ダイヤモンド社)等、芸能人による著作が多く見られた。現代社会における暇と退屈という問題の普遍性、また、哲学書とは思えないような易しい語り口とリーダビリティが、そうした新しい読者に支持されていると考えられる。

書籍内容紹介

「暇」とは何か。人間はいつから「退屈」しているのだろうか。答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう──現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を鋭く指摘したベストセラー、あとがきを加えて待望の文庫化。

著者紹介:國分功一郎

1974年、千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業。’97年、東京大学大学院総合文化研究科の修士課程入学。2006年、同博士課程を単位取得退学。 東大大学院に籍を置く間、ストラスブール大学哲学科、パリ第10大学哲学科、社会科学高等研究院科学科(フランス)に留学している。’09年博士論文「スピノザの方法」で学位を得る。高崎経済大学経済学部講師、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。 本書『暇と退屈の倫理学』で第2回紀伊國屋じんぶん大賞、『中動態の世界──意志と責任の考古学』で第16回小林秀雄賞、第8回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞。 他に『スピノザの方法』、『ドゥルーズの哲学原理』、『来るべき民主主義──小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』、『哲学の先生と人生の話をしよう』、『近代政治哲学──自然・主権・行政』、『民主主義を直感するために』、『スピノザ「エチカ」 2018年12月(100分 de 名著)』、『原子力時代における哲学』、『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』など。

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