キーワードは「エンタメ」“楽しい”との融合で変化するテクノロジー 未来を提案する“檜舞台”を体感 “電気店の息子アナ”が見た「CES」①

ソニーとホンダが提案する楽しい車に「試乗」

最新技術がお披露目される世界最大規模の家電IT見本市「CES 2023」が1月9日(日本時間)まで、米・ラスベガスで開かれました。約3200社が出展し、3年ぶりのリアル開催となった全世界注目のテクノロジー発表の場を、実家が電気店というアナウンサーの私が、体感してきました。

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「CES」は、2020年にトヨタが富士山の麓で進める未来型実験都市「ウーブン・シティ構想」の発表の場に選ぶなど、いまや、IT企業から家電、車メーカー、飲料メーカーなど、多様な企業が自らの未来の方向性を世界中に提案する「檜舞台」となっています。

メイン会場に入ると、LGがフロアーを大きく占め、サムスンとともに、韓国企業の勢いを強く感じさせましたが、日本企業の奮闘もキラリと光った今回のCESでした。そのキーワードは「エンタメ性」です。

会場で話題の的となっていたのは、ソニーグループと浜松市が発祥の自動車メーカー・ホンダのEV合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」が生み出した車のプロトタイプ。「AFEELA(アフィーラ)」というブランドで、ソニーのエンターテインメント技術とホンダの安心・安全性能がぎっしりと詰まっていて、ワクワクしました。

会場で人気を集めていた「AFEELA(アフィーラ)」

高級ソファに座りゲームを楽しむ感覚

日本のニュースでも盛んに紹介されていましたが、運転席に座ると「パノラミックディスプレー」という横長の画面が迎えてくれて、タッチパネルで自在に画面が切り替わり、映画やゲームを楽しめます。

また、座り心地は高級ソファのようなお尻を優しく包み込む感覚。ハンドルは、前の画面がよく見えるように上部が切り取られています。まるで、F1マシーンのような形で、運転席というよりコックピットという感覚でした。

足元もすっきりしていて助手席と繋がっているベンチシートです。子どもの頃、ゲームセンターにある筐体型のゲームの前に座った時のワクワクと高級ソファに座った感覚に、思わず笑みがこぼれてしまいました。

驚いたのは、車外の前後にもモニターが付いていること。歩行者とのコミュニケーションツールにもなるのだそうです。画面上に「ウェルカム」とメッセージを出すなど、使い方は今後、協力企業等と意見を出し合っていくそうです。

会場では、世界的ヒット作品『フォートナイト』でおなじみのエピック・ゲームズとの提携も発表されるなど、これまでの車づくりとは一線を画す業界を超えた開発体制に期待が集まっていました。今後、自動運転の精度が高まれば、移動中の車内は「車を操作する場」から「エンタメを楽しむ場」に変わるのだと実感したプレゼンテーションでした。

コスメ界もテクノロジーで楽しさ追求

ファッションとエンタメ性の融合を目指したのが、日本の化粧品メーカーKOSÉ。「Mixed reality makeup」という、人の顔にプロジェクションマッピングでメイクを施した後の姿を見せる技術を発表。これにより、挑戦的なメイクも瞬時に、気軽に次々と試せるようになりました。

これまでは、化粧品売場で何度もメイクをしたり落としたりするのは困難だったので、これは便利。すでに東京・銀座の店舗で顧客に実施されているサービスで、今後ヘアカラーや服装にも広げていく構想があるそうです。ランウェイを歩くモデルさんのメイクや衣装が、次々と変化する等、化粧品メーカーがエンタメ界をプロデュースする日も近いかもしれません。

コロナ禍で閉塞感が漂う中、「楽しい」というキーワードが世界の技術開発を牽引してることが分かりました。(SBSアナウンサー 牧野克彦)

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