景気の「寒の内」

 週末にかけて、日中の気温が高めの日が続くという。近ごろは寒さで肩をすぼめることもあまりないが、一年で最も寒いとされるのは本来、寒の入りから節分までの「寒の内」で、ちょうど今の時期に当たる▲昼の時間が最も短い冬至の頃、昨年でいうと12月22日あたりが一番寒くてもよさそうだが、実際はそうなっていない。冬至を境に日は長くなっているのに、寒さはむしろ厳しさを増す…。このごろの景気と重ならなくもない▲博報堂の生活総合研究所が4千人近くに尋ねたところ、お金をかけたいことの1位は「旅行」で27%、2位が「貯金」、3位が「外食」。「旅行」という答えは昨年の結果をぐんと上回った。人の動きは活発になり、「コロナ後」の日が差すように思える▲かたや今年の景気を聞いてみると「悪くなる」のが45%ほどに上る。2015年に調査を始めてから最も高かった▲コロナ禍はいくらか収まって経済の日脚は伸びるはず…と心待ちにしていても、物価高という北風が吹き荒れて、やむ気配がない。きのう全国旅行支援が再開されたが、コロナはまたも広がっている▲気候の方はやがて、春が必ず巡ってくる。景気の「寒の内」は一体いつまで続くのだろう。風を切って進むには、まずもってこの「第8波」を乗り切るしかない。(徹)

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