高級家具がオフィスに!?旭川カンディハウスの新戦略

今回の特集は「カンディハウス」。優れた品質とデザイン性で、国内外から高い評価を受けている、旭川の高級家具メーカーだ。主に個人向けの高級家具を扱っているが、コロナ禍でオフィス家具にも参入した。その狙いとは。

【高級家具 こだわりの製造現場】

旭川家具を代表する人気メーカー、カンディハウス。ドイツの家具工場で修行を積んだ故・長原実氏が1968年に創業したインテリアセンターが前身だ。

創業当時、業界内で主流だったのはたんすや婚礼用の家具。そんな状況の中でカンディハウスは、北欧のデザインを取り入れた斬新な家具を相次ぎ生産。椅子や机などのいわゆる「脚物家具」に力を入れ、高級ながらもファンを獲得した。

創業当初に3億円だった売上高は、ピークの1990年には52億円を超え、直近の3年間も30億円台で推移している。

商品の値段は3万円台からと幅広いが、最も高いものは150万円近くに上る。そんな人気の高級家具、全て手作りかと思いきや…イタリア製の家具製造ロボットをいたるところに導入。大半の作業を機械化している。

高級路線ではあるが、高すぎると顧客が離れてしまうのが実情。そうしたことから一部を機械化している。この機械が何とも優れモノ。設計図面を立体化できるプログラムを活用し、完成時のイメージを忠実に再現。同じクオリティーかつ品質の高い製品の量産を可能にしている。

しかし、最後は職人が仕上げる。職人歴24年の白鳥さん。削った時の音や手触りを確かめながら、見た目の美しい製品を作り上げる。白鳥さんは「人間はティッシュペーパー1枚の厚みでも違和感を感じられると18の時に言われて、機械でどれだけきれいにやってもそのちょっとした誤差を見逃さないように仕上げていく」と話す。

【オフィスに高級家具!?その理由とは】

プロ野球北海道日本ハムファイターズの新球場のネーミングライツを取得した不動産会社、日本エスコン北海道支店。

会議室にカンディハウスのテーブルと椅子を取り入れた。コロナを機に、温かみのある木製の家具をオフィス内に増やすことを思いついたという。

カンディハウスは、こうしたコロナ後の企業の意識の変化に着目。オフィス家具分野の強化を決め、特に、コロナをきっかけに広がった在宅勤務への対応に力を入れ始めた。

家庭のプライベートな空間にもなじむ商品として、大手メーカーと共同開発した椅子。一脚23万円するが、去年4月の販売開始から8カ月で約330脚を売り上げた。

こうした分野に目を向けたのが、去年経営トップとなった染谷社長だ。染谷社長は「今のボリュームのオフィス領域が必要なくなってきて、コンパクト化したり移転したりした時に、デザイン性の高いオフィス家具の需要が高まることも予想される」と話す。

今後、在宅勤務向けのワーキングデスクも計画している。これまでの家庭向け高級家具づくりを主力としながらも、オフィス向け家具や在宅勤務向けの家具づくりに力を入れるとする。染谷社長は「ビジネスの比率からいうとホームユースの領域が高いが、これからの新しいマーケットや時代の変化によって、ニーズが生まれているところには、積極的にいかなかればいけない」と話す。

【北海道産材の比率高めブランド力強化】

原料調達の面にも変化が。ウッドショックの影響で海外産の木材の価格が高騰を続ける中、カンディハウスはここ数年北海道産材の有効活用に力を入れている。

吉田取締役は「節がある材などは、昔は欠点といってはじいていたが、それもある意味個性・キャラクターとしてテーブルの天板面などで生かしながら、自然な風合いとして表現をしている」と話す。

木材の輸送コストや環境への負荷を減らすため、地域の組合が掲げるプロジェクトに参加。旭川周辺の材を多く扱うようにしている。

北海道産材の割合は8年前まではほんの数パーセントしかなかったが、今年はだいたい6割くらいは北海道材に切り替わった」と話す。

【馬具メーカーとのコラボも】

去年10月に立ち上げたコソンコクス。カンディハウスと馬具・革製品製造のソメスサドルが手を組んで作り上げたアートオブジェのブランドだ。

革製品を作る過程で生じる端材の有効活用を考えていたソメスサドルの課題が、
カンディハウスとのコラボで解決された形だ。ソメスサドルの担当者は「必ず革から端材が出てくる。今までもそこから小物を作ることはしてきたが、限界があった」と話す。

ラインアップは現在25種類。動物をモチーフにした商品は革で羽や耳を表現している。ビルをイメージした商品は、木目をそのまま生かす。これまでに7個ほど売れ、世代を問わず問い合わせが多いという。他のメーカーとのコラボによる新たな需要の創出もこれからの大きな目標だ。

【MC杉村太蔵さんの一言】

MCの杉村太蔵さんは「快適なオフィス家具は成長の原動力になる」と話した。コロナ禍でオフィスのあり方が議論される中、家具によって雰囲気が明るくなったり、社員のテンションが上がることもある。これからのカンディハウスの取り組みにも注目したい。
(2023年1月14日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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