ヨウ素輸出、横浜港が33年連続日本一 世界の医療水準向上に一役

「ヨウ素は常温常圧では個体」と話す海宝さん=横浜市中区の横浜税関

 世界の医療水準向上に横浜港が一役買っている─。横浜税関の調査発表から、そんな現況が浮かび上がった。実は、日本はX線の造影剤や医薬品の製造に欠かせない「ヨウ素」の主要産出国で、同港は国内最大の輸出拠点だ。近年は新興国の医療技術が発展し、需要が拡大している。

 横浜税関によると、2021年のヨウ素の輸出量は前年比4.2%増の5045トンと、16年ぶりに5千トンの大台を突破した。金額は12.6%増の165億2100万円で過去最高を更新。横浜港のシェアは輸出量、金額ともに7割弱を占め、33年連続で日本一となった。

 天然資源が乏しい印象の日本だが、「意外にも多くの資源に恵まれている」と同税関の担当者。中でもヨウ素の産出量は世界有数で、おおよそ半分を海外に輸出しているという。

 大学や企業の研究者らで構成する「ヨウ素学会」によれば、日本で産出されるヨウ素は世界全体の3割に上り、6割のチリに次ぐ第2位の規模を誇る。同学会理事の海宝龍夫さんは「埋蔵量に限って言えば世界一で、日本は隠れた『ヨウ素大国』」と話す。

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