「100%大井川流域を楽しんで」台風被害で苦境のローカル鉄道と「ゆるキャン△」コラボ再び、地元も観光客増に期待

人気マンガ「ゆるキャン△」と沿線が作中に舞台として登場する大井川鉄道(本社:静岡県島田市)がコラボした「ゆるキャン△×大井川鉄道 聖地巡礼きてみて周遊キャンペーン」が1月10日から始まりました。

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静岡県の「交通事業者による誘客・周遊促進事業費補助金」の採択事業として実施されるもので、コラボキャンペーンとしては、2022年2月から3月にかけて行われた「ゆるキャン△×大井川鉄道 大井川流域誘客・周遊促進キャンペーン」に続く、第2弾。キャンペーンは1月10日から2月5日までで、ファンが楽しめる様々な展開が用意されています。

再び大井川鉄道とのコラボが実現した「ゆるキャン△」

多彩なコラボ内容

今回の目玉となるのは、作品の舞台となった場所をめぐるのにも最適な、キャラクター(各務原なでしこ、志摩リンの2種類)のあしらわれた限定デザインの周遊きっぷです。販売価格は4,900円で、大井川鉄道の鉄道と路線バスが2日間、全線乗り放題となります。

チケットホルダーのほか、「大井川鉄道川根温泉ホテル」の日帰り温泉入浴券、描き下ろしの中吊りポスター、オリジナルブロマイドの計4点が購入特典として付属します。

平日にもかかわらず多数のファンが

キャンペーンが始まった初日の1月10日は、平日にも関わらず、周遊きっぷの販売開始時間朝9時前から新金谷駅前にあるプラザロコ(静岡県島田市)では、40人ほどが列をつくりました。

先頭に並んでいた男性ファンは「ここにやってきたのは、実は昨夜8時半頃。寒いので、車の中で待機していた。このあとは、井川線に特製ヘッドマークが付くそうなので、それも写真に収めたい」と興奮気味。

大阪から来たという男性ファンは「2万円弱、周遊きっぷを4セット買った。温泉めぐりをしていて、大鉄沿線も温泉があるし、ちょうどコラボがあったので、予定に組み込んだ。『ゆるキャン△』のおかげで、静岡や山梨に来るようになった」といいます。

オリジナルグッズも販売

初日から詰めかけたファンの目当ては、周遊きっぷだけではありません。期間中、金谷駅、プラザロコ、千頭駅の各売店では、さまざまなオリジナルグッズが販売され、購入価格に応じたプレゼントも用意されています。

「ちくわ」グッズやカーサインマグネットなど、1月10日から発売の新商品は、もちろん、第1弾から継続して販売のグッズも豊富に取り揃えています。数万円単位で購入するファンの姿も目立ちました。

ヘッドマーク付き車両も運行

期間中は、オリジナルのヘッドマークを掲出した車両も運行します。井川線の千頭駅~井川駅間で、列車に計3種類のヘッドマークを取り付けるほか、1月28~30日の3日間は、大井川本線の新金谷駅~家山駅を運行する「SLかわね路号」にも掲出されます。

車内もポスターで装飾

SLが走る大井川本線では、一部の普通電車の車内に、中吊りポスターも掲示されています。作中のシーンを切り取ったもので、全8種です。

なお、大井川本線の列車は、2022年9月に起きた台風15号被害の影響で、新金谷駅~家山駅間のみの運行となっていて、家山駅~千頭駅間は、バスによる代行輸送となります。

全線での運行再開の見通しが立たず、厳しい状況が続く中、大井川鉄道は「ゆるキャン△」とのコラボに、大きな期待を寄せています。

ゆるキャン△効果に期待

大井川鉄道広報担当の加冷英鵬さんは「第1弾の際は、かなり好評を頂きました。若干内容も変わっておりますし、第1弾にはなかった特典ですとか、オリジナルグッズもございますので、ぜひ、繰り返し大井川鐵道に足を運んでいただければと思います」。

2022年の第1弾コラボでは、全国から多くのファンが集まり、「ゆるキャン△」の集客効果を実感しています。その第1弾に足を運んだファンにも、改めて楽しんでもらえればと加冷さんたちは考えています。

「ご乗車いただき、車窓をお楽しみいただいて、あとは漫画に出てきた沿線の風景をご覧いただき、グッズもお買い求めいただき、温泉にも入っていただいて、100%大井川流域を楽しんでもらえたらと思います」

観光協会もコラボに期待

キャンペーンに期待を寄せるのは、大井川鉄道だけではありません。大井川本線と井川線の乗り換え駅である千頭駅があり、寸又峡温泉などの観光地を有する川根本町は、周辺への観光客増加に期待します。

川根本町まちづくり観光協会の下嶋惠さんは「大井川流域ですよね、川根本町のみならず、島田から井川まで。ファンの方に来ていただいて、めぐっていただいて、楽しんでいただきたいというのが一番」。

観光協会では、大井川鉄道と「ゆるキャン△」のコラボとは別に、オリジナルのポスターやステッカーなどを販売していますが、新たなビジュアルの新商品4種を1月10日から発売し、大井川鉄道のコラボキャンペーンと足並みを揃えています。

アニメ3期は大井川流域が舞台⁉

現在、2期まで放送されている「ゆるキャン△」のアニメシリーズは、3期の制作が2022年10月に発表されています。放送内容・時期は未定となっていますが、仮に原作通りであれば、アニメ3期では、大井川鉄道沿線が登場するものとみられ、訪れたファンたちから期待の声が聞かれました。

今回のコラボキャンペーンはもちろんですが、今後、大井川流域で、どんな展開があるのか、観光関係者、そしてファンの期待も膨らみます。

このほか、第1弾のキャンペーンの際と同じものではありますが、等身大スタンディングパネルが千頭駅とプラザロコに設置されるなど、様々な展開でファンを楽しませています。

下嶋さんによると「ゆるキャン△」でやってくるお客さんは、若年層から高齢者まで幅広く、女性ファンも多いのが特徴だといいます。老若男女問わず、幅広いファンが大井川流域にやってくることを楽しみにしています。

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