「御殿場にはコシヒカリしかない」。かつて、川勝平太静岡県知事に揶揄され、全国からも注目を浴びた静岡県御殿場市。いま、御殿場市ではコシヒカリ以外にも様々な魅力があると、観光客を呼び込む計画が進められています。
<廣田昭由記者>
「御殿場市の日帰り温泉施設に来ています。いま、市内ではサウナを巡るキャンペーンが展開されています」
御殿場市が展開する「天国めぐりキャンペーン」。日帰り温泉など市内8施設で連携し、御殿場市を「温泉・サウナ天国」とPR。サウナブームにもあやかり、観光客増加を狙います。
<利用者>
「水風呂に入ってとても気持ちいいです」
「リラックスできました」
「もう天国!あはは。ポスターを初めて見た」
Q.まさに天国めぐり?
「そうですね」
富士山のふもと・御殿場市は、やわらかい上質な水に恵まれていて、いま、全国のサウナーから評判になっているというのです。さらに、サウナや風呂に入りながら富士山を楽しめるのも、他にはない魅力です。
<木の花の湯 温浴担当 近藤雅さん>
「御殿場には富士山というキラーコンテンツがあるので、富士山の水を使ったサウナ・水風呂があるということを広くみなさんにアピールできたことは大変うれしく思います」
サウナブームに乗って注目が集まっているのが、サウナ後のご飯=「サウナ飯」。各施設「サウナ飯」にも力を入れています。ピリリとした辛さが食欲をそそる「四川麻婆豆腐あいがけカレー」。もちろん、使われているお米は、地元名産の「御殿場コシヒカリ」です。「御殿場コシヒカリ」といえば…。
<静岡県 川勝平太知事>
「あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない」
2021年10月の参院補選で川勝平太静岡県知事から飛び出したこの発言は物議をかもしました。しかし、御殿場市はこの発言を逆手にとって…。
<御殿場市 勝又正美市長>
「以前、『御殿場コシヒカリ発言』で御殿場市は注目されました。この流れをうまく利用して、多くの観光客を呼び込んで、街の活性化を一気に図っていこうといろんな施策をやってきました」
市長がこう話す背景には、御殿場市が抱えるある課題が。観光、通勤、通学など、地域を訪れる人の数を示す観光交流人口では、御殿場市は静岡市に次ぐ静岡県内2位の1199万人。しかし、多くの観光客の目的は、アウトレットや時之栖などのある東名御殿場IC周辺が中心で、観光客の行き先を市内全域に広げ、滞在時間をのばすことが課題でした。
静岡県内初の取り組みとして注目を集めたのが「ふるさと納税の自動販売機」。ゴルフ場に設置されたこの自販機では寄付額を選び、返礼品として寄付額の3割相当のプレー補助券が受け取れます。ふるさと納税の寄付金以外にも、ゴルフ好きの観光客を御殿場市に誘致する狙いもありました。
さらに、2025年の完成を目指すのは、「富士山樹空の森」で建設が進む「富士山 木のおもちゃ美術館(仮)」。御殿場市産の木材などからつくったおもちゃで遊べる、親子をターゲットにしたこの施設をめぐっては、市長が「日本一の施設を目指す」と意気込みます。さらに、2023年は市独自の記念日も定める力の入れようです。
<御殿場市 勝又正美市長>
「『御殿場の日』を定め、それに向かってみんなでこの1年間、街の活性化を図っていこうという取り組みです」
令和5年10月8日、語呂合わせで「ゴ・テン・バ」。この日に向けて「スポーツ祭」や「産業フェア」など約40のイベントを実施予定です。
御殿場には富士山があり、きれいな水もある。サウナもアウトレットも、まもなく「おもちゃ館」もできる。知事のコシヒカリ発言を逆手に、魅力の再発掘と構築が進みます。