91歳ドライバーが女性はねる死亡事故「早く返納すれば良かった」 年末年始に悲劇相次ぐ

福島県郡山市内の市道交差点で1月2日、軽乗用車と乗用車が出合い頭に衝突し、炎上した軽乗用車から4人の遺体が見つかった事故について、死亡したのは市内に住む家族で、会社員の男性(41)、パート従業員の妻(39)、消防士の長男(20)、高校生の長女(16)だったことが、11日に分かった。

JAFによれば、2022年度の年末年始(2022年12月29日〜2023年1月4日)に受け付けたロードサービス件数(速報値)は5万4410件で、前年比90.7%だった。減少した背景について、JAFは「降雪により救援要請の多かった昨年度に対し今年度は全国的に天候が落ち着いていたため」と見ている。

2022年度 年末年始繁忙期 (12月29日~1月4日) ロードサービス受付件数【速報値】(https://jaf.or.jp/common/news/2023/20230110-001)

しかし、もともと年末年始は忘年会・新年会にともなう飲酒運転や、渋滞による追突事故など、交通事故が多くなる傾向にある(※1)。

(※1)交通事故総合分析センター「交通事故統計表データ」によれば、2021年は12月の飲酒運転事故が発生件数・死亡件数ともに1年の中でもっとも多く、他の年も同様の傾向にある。またNEXCO東日本によれば、交通混雑時は通常時に比べて事故件数が2〜3割程度増加する傾向にあるという。

郡山の事故に限らず、今年の年末年始も各地で多くの交通事故が発生しており、被害者が死亡したり、重傷を負ったりしたケースも少なくない。以下、主な事故を振り返る。

  • 91歳が80歳をはねる死亡事故(1月4日、福岡県古賀市)
    古賀市内の国道で、91歳の男が横断歩道を渡っていた80歳の女性をはね、女性をボンネットに乗せたまま約14メートル走行した。女性は意識不明の重体となり、3日後に死亡した。過失運転致傷の疑いで逮捕された男(被害女性が死亡後、過失致死に切り替え)は警察の調べに対し「すぐにブレーキをかけたつもりだった。早く(免許を)返しておけば良かった」と話したという。
  • 帰省Uターン中の追突事故で1歳男児死亡(1月4日、兵庫県加古川市)
    24歳の母親が、2歳の長女と1歳の長男を軽乗用車に乗せて三重の実家から岡山の自宅に帰る途中、兵庫県内の国道2号加古川バイパスでガードレールに接触。母親が警察に通報するため車外へ出たところ、後ろから走行してきた中型トラックが軽乗用車に追突し、1歳の長男が死亡、2歳の長女が意識不明の重体となった。中型トラックを運転していた65歳の男は現行犯逮捕。警察の調べに対して「前を見ずに運転していた」と供述し、過失運転致死傷の疑いで捜査されているという。
  • 酒気帯び運転で親子3人の車に衝突、母親死亡(12月28日、滋賀県彦根市)
    彦根市内の国道8号で軽乗用車がセンターラインをはみ出し、対向車線を走行していた乗用車と正面衝突。乗用車の後部座席に乗っていた女性(42)が死亡し、運転していた夫(42)と助手席に乗っていた娘(8)が軽傷を負った。軽乗用車を運転していた男(59)は、酒気帯び運転の疑いなどで現行犯逮捕された。
  • スリップが原因か、対向車衝突で71歳女性死亡(1月3日、岩手県北上市)
    北上市内の国道107号で25歳の男性が運転していた乗用車が車線をはみ出し、対向車と衝突。対向車の後部座席に乗っていた71歳の女性が死亡したほか、双方の車に乗っていた男女5人が骨折するなど大けがをした。警察は25歳の男性が運転する車がスリップした可能性があると見ている。
  • 事故処理中に車が突っ込み、警官重傷(1月4日、福井県敦賀市)
    北陸道下り線で、福井県警高速隊の男性警察官(49歳)が追突事故の処理をしていたところへ、富山県の男性会社員(25歳)が運転する軽乗用車が突っ込んだ。男性警察官は車に足を挟まれ、左脚を骨折する重傷を負った。

2022年の交通事故死は最少を更新したが…

警察庁は4日、2022年中に交通事故で亡くなった人は2610人で、統計を取り始めた1948年以降、6年連続で過去最少を更新したと発表した。

しかし、事故のリスクはゼロにはならず、言うまでもなく思わぬところに潜んでいるものだ。2023年も始まったばかりだが、安全に気を付けて1年を送りたい。

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