受験生への痴漢防止キャンペーン 入試に向かう生徒の被害が後を絶たず

大学入学共通テストが1月14日・15日に控える中、入試会場に向かう受験生が痴漢に狙われるケースが後を絶たないことから、警視庁などによる痴漢防止キャンペーンが始まりました。

都営地下鉄大江戸線の新宿西口駅で1月11日に行われたキャンペーンには警察官のほか、警視庁の防犯広報大使を務める国民的キャラクター「サザエさん」の着ぐるみらが参加し、通勤客に向けてチラシを配って痴漢の撲滅を呼びかけました。

警視庁によりますと入試会場に向かう受験生が痴漢に遭う被害は後を絶たず、2022年にはインターネット上に「共通テストに向かう受験生は被害届を出さないから、痴漢し放題」といった悪質な書き込みが相次いだということです。警視庁では痴漢の被害を防ぎ、痴漢をさせない環境をつくるため、無料防犯アプリ「デジポリス」の活用を呼びかけています。警視庁・生活安全総務課の総崎由希課長は「駅や電車内で痴漢行為を目撃した人は被害者に声をかけ、救助の手を差し伸べてほしい」と訴えました。

警視庁などは痴漢防止への対策を強化していく方針です。

<卑劣な痴漢行為から受験生を守れ>

受験を目前に控えた生徒を狙った卑劣な痴漢行為を防ぐため、警視庁だけでなく東京都も対策を強化しています。

東京都も受験シーズンに合わせ、痴漢撲滅キャンペーンを始めました。東京都は男女平等参画の一環として、2022年度から痴漢対策の取り組みを強化していて、1月18日から都営大江戸線で女性専用車両の導入が予定されています。ただ、18日からのため、1月14・15両日に行われる共通テストには間に合わない状況です。また、専用車両の実施は「平日のラッシュ時間帯のみ」ということです。インターネットで犯行予告が出るような状況ですから、共通テストの日だけでも女性専用車両や受験生専用の車両を設けられないかとも思いますが、今のところ、どの鉄道会社からもそのような発表は出ていません。

東京都の今回のキャンペーンで特徴的なのが「周囲の乗客への協力」を呼びかけるメッセージが増えていることです。交通局が作成したポスターには「助ける準備、できていますか?」と書かれ、他にも鉄道各社や各警察とのポスターには「知らない人だけど、知らないふりはしない。」というキャッチコピーも使われています。

電車内で痴漢を目撃した時、具体的にどのように行動すべきかについても発信しています。車内に設置してある「車内非常通報装置」はボタンを押しただけでは列車が止まることはないため、ちゅうちょなく押してください。また、VTRでも紹介されていた警視庁の「デジポリス」というアプリなどを使って声をかけることで、被害を食い止めることができます。この時期の乗車中はスマートフォンの画面を見つめることに集中するのではなく、社会全体で受験生を見守る気持ちを持ちたいものです。痴漢被害は女性だけでなく男性の被害も報告されていますので、少しでも様子がおかしいなと感じた時には、声かけをしましょう。

痴漢被害に遭わないための「自衛」の方法も紹介します。電車内での立ち位置によって痴漢被害を回避できる場合もあるようです。

痴漢抑止活動センターによりますと、降り際に触って逃げるという痴漢被害に遭いやすい「ドア付近」や、死角となる「連結部分」は避けた方がよいようです。他にも、痴漢抑止バッジをかばんに取り付けるなど「痴漢をされたら我慢しない」という強い意思を示すことで回避できるということです。

痴漢は被害者に非のない卑劣な犯罪です。受験生がこれまでの努力を100%発揮できるよう、応援できる社会になることが求められます。

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