危険な交差点 対策は? 長崎・国道206号の打坂 斜めの構造に問題 一人一人が注意を

 「毎日通勤で通っているが、危ない」。こんな声が長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)に寄せられた。その「危ない」場所とは、長崎市滑石2丁目の国道206号の打坂交差点。県内有数の事故多発箇所でもある。かねて危険と言われてきたが、対策は取れないのか。

事故が多発する打坂交差点=長崎市滑石2丁目

 12月のある日の夕方。記者は車で西彼時津町方面に向かって打坂交差点へ。長与町方面に通じる脇道(市道)に行くため右折ウインカーを出すが、交通量が多く、対向車のスピードは落ちない。辛うじて右折できたが市道は幅員が狭く、離合できない場所も。それなのに絶え間なく車が行き来し、運転が未熟な記者には相当な「難所」だった。

 県警によると、昨年、同交差点で発生した事故は長崎県内最多の7件。17年以降の累計では25件に達し県内有数の多発箇所だ。近くに住む無職の中路澄夫さん(79)は「国道はスピードを出す車が多い。運転していた時は左右を2回ずつ見て、脇道から国道に出ないと怖かった」と話す。

 なぜこんなに多いのか。原因を探ると、交差点の構造上の問題にぶつかる。関係者によると、まず、国道と市道が直角に交差しているのではなく、市道が斜めに、しかも向かい側と大きくずれた形で交差している点。これが見通しの悪さにつながっている。

打坂交差点の車の流れのイメージ

 さらに▽脇道が狭いが、生活道路として交通量が多い▽時津方面から中心部方面の国道は上り坂で曲がっていて、見通しが悪いものの、ドライバーが速度を出しがち-などが指摘される。通勤で交差点を通る西彼時津町野田郷の山本諭さん(47)は「時間帯によって滑石方面に抜ける脇道を一方通行にし、国道から脇道への右折を制限するなどしてほしい」と対策を求める。

 長年懸案となってきた同交差点の構造。かつて歩行者用の押しボタン式信号機だけだったのを定周期運用信号に切り替えたり、歩道の位置をずらして脇道から国道に出やすくしたりして改善を図ってきた。

 市道側に信号機を設置すればいいのではとの声もあるが、幅員が狭くて設置が難しい上、脇道から脇道へと直進する車が詰まってしまい逆に混乱を招く可能性があるという。「カーブの坂道をつくり直したり、ずれている二つの脇道を一直線にしたりすれば、膨大な予算と労力を要する。歩行者とドライバーに十分気をつけてもらう必要がある」と県警の担当者。一人一人が「基本」に立ち返り、事故を防いでいくことが求められそうだ。(佐藤大樹)

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