救急搬送困難58件 1週間で最多 岡山市消防局、適正利用呼びかけ

 岡山市消防局は12日、救急車の到着後も搬送先が決まらない「救急搬送困難事案」が管内(市内と岡山県吉備中央町)で2~8日に58件あり、1週間当たりの件数として過去最多になったと発表した。緊急性の高い患者をより早く搬送するため、救急車の適正利用を呼びかけている。

 救急搬送困難事案は医療機関に受け入れの可否を4回以上照会し、救急隊の到着から搬送開始までに30分以上かかったケースを指す。新型コロナウイルス感染拡大に伴う病床の逼迫(ひっぱく)や搬送件数の増加などを背景に昨年11月中旬から増え続け、最新の統計である1月2~8日は前週に比べて17件増加した。

 58件のうち、発熱や息苦しさがあるコロナ疑いは37件。受け入れ先が決まるまでの照会件数は最大で22回、最長で1時間57分現場に滞在したケースもあったという。

 市消防局は12月26、28日に救急隊を増設するなど搬送体制を強化したものの「9~15日の搬送困難事案は58件を上回る勢いで、まだピークは見えていない」と危機感を示す。救急車を呼ぶか迷ったときはかかりつけ医に相談したり、緊急度を判定できる消防庁アプリ「Q助」の活用を検討したりすることも訴えている。

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