東京都、初実施の「中学校英語スピーキングテスト」の平均点を公表 プレテストより7ポイント上昇

2022年11月に全国で初めて実施された、東京都内の公立中学3年生を対象にした「中学校英語スピーキングテスト」の平均点が発表されました。2021年度に実施されたプレテストよりも平均点は7ポイント上昇していたことが分かりました。

1月12日に開かれた東京都教育委員会の定例会で「中学校英語スピーキングテスト」の平均点が発表され、60.7点だったことが明らかにされました。2021年度に行われたプレテストの平均点53.7点から7ポイント上昇しました。スピーキングテストの結果は6段階に振り分けたものが、間もなく行われる都立高校の入試の結果に合算されます。

テストは英語で「話す力」の育成を目的に解答の音声を録音する形で、2022年11月に全国で初めて実施されました。ただテストを巡っては、試験終了後に受験生から「隣の人の声が聞こえた」「イヤーマフが痛かった」といった声が上がっていました。一方、東京都教育委員会は「大きなトラブルはなかった」としています。

<複雑な評価方法に不公平性を訴える声も>

「中学校英語スピーキングテスト」本試験の平均点は60.7点と発表されました。ただ、この点数を巡ってはこれまでに不公平性を指摘する声が上がっています。

スピーキングテストでは100点満点をAからFの6つのランクに分けますが、このランク分けは単純に6等分するわけではありません。例えば「Aランク」は「100~80点」で21点の幅があります。一方、B、C、Dは15点の幅、Eに至っては34点の幅とバラバラです。また、ランクが1つ下がるごとにマイナス4点になるため、例えば79点だった生徒と80点の生徒では、実際の試験の点数が1点差だったとしても「入試の評価」の中では4点差ということになります。

この点数の不公平性を指摘する声は当初から上がっていました。複雑な評価方法を疑問視する声は確かにあり、また、特定の理由があってスピーキングテストを受験できなかった生徒については筆記試験の得点を基に全体の平均点から点数を推測して評価するという仕組みもあって、不公平性を訴える声はテストが終わった後も絶えません。

<東京都、英語力を強化する取り組み続々>

スピーキングテストを進める東京都は、他にも英語力強化のために英語教育に関するさまざまな事業を進めています。

まず、2023年1月、立川にオープンする体験型の学習施設「東京グローバルゲートウェイ」には2種類のプログラムが用意されています。1つ目として「シーン別の英会話の体験」が挙げられます。施設内に飛行機内のセットやホテルのカウンター、レストランやクリニックなどが再現され、海外旅行を疑似体験しながら英語を学ぶことができます。2つ目は、グループワークによって「英語で学ぶ」仕組みです。世界各地の地域や環境などをテーマに、英語でプレゼンテーションやディスカッションを行うというものです。

さらに、現在行われている知事査定では「都立高校生の海外交流事業」の検討が進んでいます。小池知事が2022年に訪れたアラブ首長国連邦をはじめ、エジプトやマレーシア、アメリカ、イギリス、フランスなどで都立高校生が外国の高校生などと交流することが想定されています。

「東京都の英語教育を受ければ、将来使える英語が身につく」というところまで高めていくことができれば、東京という都市の大きな魅力につながります。しっかりとしたビジョンと細やかな実施体制を整えることが求められます。

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