栃木県内の銭湯料金引き上げへ 8年半ぶり、40円値上げ460円に

銭湯料金の値上げを承認した県公衆浴場審議会=13日午前、県公館

 燃料価格の急騰などを受け、栃木県公衆浴場審議会は13日、県内の一般公衆浴場(銭湯)における大人(12歳以上)の入浴料金の上限を、現行から40円引き上げて460円に改定するよう福田富一知事に答申することを決めた。県公報告示で正式決定し、2月15日から適用される。値上げは2014年7月に30円引き上げて以来で約8年半ぶり。

 中人(6〜11歳)は上限を20円引き上げ200円、小人(6歳未満)は10円引き上げて100円となる。

 値上げは「県公衆浴場業生活衛生同業組合」が燃料価格高騰や物流コストの増加、新型コロナウイルス感染拡大に伴う利用者減少によって経営環境が厳しくなっているとして、昨年12月に県へ要望。知事が有識者や消費者代表らでつくる同審議会に諮問していた。

 県が県内4施設を対象に行った調査によると、21年は1施設当たり平均で月約14万5千円の赤字だった。電気料や燃料費の高騰を踏まえると、22年は赤字額が1.5倍の約21万円に膨らんだと推計されるという。ただ、今回の改定でも赤字は解消されず、収支は1日約5千円のマイナスになると試算されるとしている。

 今回の値上げ幅は組合の要望額通り。業界団体代表として同審議会委員を務める同組合の稲垣佐一理事長は「他県やスーパー銭湯などの料金も踏まえ、客離れにならないような額だと考えた。消費者を考えると、現時点でこれ以上の値上げは難しい」と打ち明けた。

 県によると、栃木県の大人料金は47都道府県で34位タイと安い部類だが、値上げ後は秋田、石川、岐阜、愛知に並び12位タイとなる。最高の東京と神奈川は500円、最安の佐賀は280円。県内の銭湯は7施設あり、市町別では宇都宮に3施設、足利、栃木、小山、那須塩原に各1施設ある。

 銭湯は物価統制令の対象となるため、自由に価格が設定できない。ヘルスセンターや健康ランド、ジムの風呂などは「その他の公衆浴場」として区別される。

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