25歳死亡、26歳重傷…アパート襲撃の男に懲役30年を求刑 弁護側「目撃者は不自然で信用できない」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県久喜市のアパートで2019年、ベトナム人2人が包丁で刺されて死傷した事件で、殺人や殺人未遂などの罪に問われた、ベトナム国籍で住所不定、無職の男(28)の裁判員裁判の論告求刑公判が12日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。検察側は懲役30年を求刑、弁護側は殺害の関与を否定し、懲役7年を求めて結審した。判決は27日。

 検察側は論告で、男が玄関前で男性の首を刺して殺害したと指摘。その場の状況や現場にいた目撃者の証言などから「男が犯人であると強く推認され、反省がなく再犯の恐れもある」と述べた。

 弁護側は弁論で、目撃者の証言に一貫性がなく不自然で信用できないと主張。死亡した男性については「現場にいた別の人物が殺害した」とし、男はけがをさせたまでにとどまり、殺人罪ではなく傷害罪の適用を求めた。負傷したもう一人の男性については殺人未遂罪を認めた。

 起訴状などによると、男は19年6月29日午後10時ごろ、久喜市内のアパートでベトナム国籍の男性=当時(26)=を包丁で複数回突き刺して重傷を負わせ、同国籍の知人=当時(25)=の首などを複数回刺して失血死させたとされる。

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