今年の高校サッカー選手権決勝で対戦した岡山の岡山学芸館と京都の東山。結果は岡山学芸館の岡山県勢初優勝に終わったが、東山の今大会の戦いぶりも見事なものだった。
Jリーグではファジアーノ岡山と京都サンガF.C.を擁する両府県。サッカー的には「新興勢力」と「古豪」といえるそれぞれの地域の有名選手を5名ずつピックアップしてみた。
■岡山県出身
青山敏弘
倉敷市出身/作陽高校
高校時代の2002年、選手権の岡山県予選決勝で決めたゴールが「幻のゴール」となり涙をのんだ青山。
しかしプロとなったサンフレッチェ広島で中心選手として活躍し、森保一監督とともに3度のリーグ優勝を達成。2015シーズンにはJリーグMVPに輝いた。
日本代表としても2014年のブラジルワールドカップに出場している。
安英学(アン・ヨンハ)
倉敷市出身/東京朝鮮中高級学校
北朝鮮代表として2010年の南アフリカワールドカップに出場。これが、岡山県出身初のワールドカップ出場だった(3試合にフル出場)。
クラブではアルビレックス新潟や名古屋グランパス、さらには韓国の釜山アイパークなどで活躍。2005年の名古屋時代までは登録名が「アン・ヨンハッ」だった。
現在は指導現場などで活躍している。
山﨑凌吾
岡山市出身/玉野光南高校
福岡大学を経て2015年にサガン鳥栖でプロ入り。2016年からプレーした徳島ヴォルティスでリカルド・ロドリゲス監督のもとブレイクし、2018年夏にJ1の湘南ベルマーレへステップアップした。
2020年に加入した名古屋グランパスでは2021シーズン、ACLで平井将生に続く日本人2人目のハットトリックを記録している。
2022年から京都サンガF.C.に所属。
佐野海舟
津山市出身/米子北高校
このオフ、鹿島アントラーズへ加入したことで話題のボランチ。
高校は隣県である鳥取の強豪・米子北へ進学。2019年に高卒でFC町田ゼルビアへ加入すると、1年目から21試合に出場するなど即戦力となった。
気質的には潰し屋ながら攻撃能力も高く、2021シーズンには34試合で6ゴールを記録。鹿島では三竿健斗の後釜として期待される。
佐野航大
津山市出身/米子北高校
海舟の3歳年下の弟。米子北ではちょうど入れ違う形となったが、兄と同じ10番を背負い1年次から活躍した。
2022年に地元のファジアーノ岡山でプロ入りすると、1年目から29試合に出場し3ゴール。兄に比べると足もとの技術など攻撃面のスキルやアイデアが光る攻撃的なMFだ。
昨年はU-19日本代表にもたびたび招集されており、青山敏弘、岡山学芸館に続く、岡山サッカーの“旗手”として「佐野兄弟」は注目される。
■京都府出身
宇佐美貴史
長岡京市出身/ガンバ大阪ユース
19歳で名門バイエルン・ミュンヘンに引き抜かれた天才プレーヤー。
ドイツでの挑戦は2016年に移籍したアウクスブルクを含めうまくいかなかったが、ガンバ大阪ではチームの中心選手として2014シーズンの3冠など多くのタイトル獲得に貢献した。
昨年は開幕直後にアキレス腱断裂の大怪我を負ってしまいシーズンの大半を欠場。逆襲を目指す2023シーズンは“ガンバの7番”を背負う。
松井大輔
京都市出身/鹿児島実業高校
高校は越境で鹿児島へ。2000年に地元の京都パープルサンガへ加入し、2年目から10番を背負うなど活躍した。
2004-05シーズンからフランスのル・マンへ移籍すると、1部昇格に大きく貢献。「ル・マンの太陽」と呼ばれ、その後も海外で多彩なキャリアを積んだ。
41歳になった現在は所属するY.S.C.C.横浜において、サッカーとフットサルの“二刀流プレーヤー”として奮闘している。
家長昭博
長岡京市出身/ガンバ大阪ユース
6歳年下の宇佐美と同じ京都の長岡京サッカースポーツ少年団(長岡京SS)出身。
10代の頃からその天才ぶりは全国に知れ渡っており、ガンバ大阪では高校2年でトップ昇格。プロでは好不調の波が激しかったこともありなかなか実力に見合う評価を得られなかったが、2017年に加入した川崎フロンターレで名実ともにトップ選手の仲間入りを果たした。
2018シーズンにはJリーグMVPを受賞。2023シーズンも加入7年目の川崎でチームをけん引する。
柱谷哲二
京都市出身/京都商業高校(現・京都先端科学大学附属高校)
Jリーグ創成期のスーパーチームだったヴェルディ川崎や日本代表でキャプテンを務めた名DF。ボランチとしても活躍した。
1993年、京都府出身で初のワールドカップに出場に大きく近づいたものの、「ドーハの悲劇」で惜しくも逃す結果となってしまった。
引退後は指導者として東京ヴェルディや水戸ホーリーホックなどいくつものJクラブで指揮を執っている。
釜本邦茂
京都市出身/山城高校
京都出身のサッカー選手と言えばやはりこの人だろう。
1968年のメキシコ五輪で日本を銅メダルに導き、自身も得点王を獲得。国内では所属のヤンマーディーゼルで無双状態だったため、海外挑戦できなかったことがいまだに惜しまれる。
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引退後は監督としてヤンマーディーゼルや松下電器(のちにガンバ大阪)などを指揮。1995年から2001年にかけて参議院議員を1期務めている。