【特集】新春インタビュー・千葉県警 田中俊恵本部長「期待と信頼に応える」

【特集】新春インタビュー・千葉県警 田中俊恵本部長「期待と信頼に応える」

千葉県警 田中俊恵 本部長
「コロナ禍の合間を縫って、プライベートも含めて、県内各地に訪問することができた。雄大な海の風景や、四季折々の美しい花、旬の果物や新鮮な野菜、海の幸…、本当に千葉の豊かな自然や食を楽しませていただいたと思っている」

 着任から約1年4か月、千葉県での生活をこう振り返るのは、千葉県警の田中俊恵本部長です。

 大阪府出身の田中本部長は、東京大学法学部を卒業後、警察庁に入庁し、埼玉県警の捜査二課長や警視庁の交通部長などを歴任しました。

 東京オリンピック・パラリンピックでは、内閣官房のセキュリティ推進統括官として、各省庁の警備対策を取りまとめる役割も務め、2021年9月、千葉県警に、初の女性の本部長として着任しました。

 県内の犯罪の状況について、田中本部長にまず、増加の一途を見せる電話de詐欺について聞きました。

千葉県警 田中俊恵 本部長
「去年の11月末時点の電話de詐欺は、暫定値で認知件数が1274件、前年同期比で約3割増。被害総額も約28億円で、約2割増となっている。被害者の9割以上が65歳以上の高齢者で、老後のためにためていた資金を、すっかりとだまし取られてしまったようなケースもあり、大変深刻と考える」

 田中本部長は2022年の歳末警戒で、熊谷知事とともに、電話de詐欺の撲滅を宣言。

 「固定電話を留守番電話に設定したり、仮に電話に出てしまった場合でも、お金の話が出たら、真っ先に詐欺だと疑って欲しい」と強調します。

千葉県警 田中俊恵 本部長
「電話de詐欺は、やはり犯罪者側にとっては、1000件電話して1件でも引っかかればもうかる。手軽に大金をだまし取ることのできる、本当に悪質で許せない犯罪だと思う。1件でも少なく、1円でも少なくなるように取り組んでいきたい」

 もう一つの課題は、減らない飲酒運転です。

 2021年6月、八街市で児童5人が飲酒運転のトラックにはねられ死傷した痛ましい事故の後も検挙数は増加していて、2022年1月から11月末までの摘発件数は、基準値未満の警告も含め1479件と、過去5年で最多になりました。

千葉県警 田中俊恵 本部長
「非常に憂慮すべき状況だと考えている。飲酒運転で検挙された、事故を起こした人たちの言っていることは『ちょっとだけなら大丈夫と思った』『自分は安全に運転できると思った』。安易な気持ちで飲酒運転をしてしまっているので、まだまだ飲酒運転の危険であること、危ないことは伝わっていないのかと、自分のこととして考えてもらえていないのかなと、残念に感じている」

 対策についてはどう考えているのでしょうか…。

千葉県警 田中俊恵 本部長
「警察でしかできないこととしては、やはり、取締り。県民の皆様から情報提供いただいて、それに基づいた飲酒検問したり、不審な車両見かけたとき、積極的に職務質問する形で、取締り強化もしている」
「飲酒運転の受刑者が作成した手記と、それに基づく動画を作成した。今後、こういったものも活用しながら、県民の飲酒運転根絶機運をさらに醸成していきたい」

 一方、2022年は、警察官による不祥事が相次ぎました。

千葉県警 田中俊恵 本部長
「警察学校入校中の職員がトランプ賭博事件で、多数懲戒処分を受けたり、強制性交や酒気帯び運転で、複数の職員が逮捕され、大変重く受け止めているところだ。県民の安全安心を守るべき、警察職員が犯罪行為を行うこと、これは警察に対する信頼を著しく損なうものだと考えている」
「懲戒処分を受けた職員の数も大幅に増加しているので、警察本部長として大変重く受け止めているところ。職員一人ひとりが、自分の職責を自覚し、高い規範意識を持ち、職務にあたる。日ごろ行動することを指導・教養を徹底していこうと考えている。そういったことをしながら、県民の信頼の回復に努めていきたいと思う」

  最後に、2023年の抱負を、フリップに書いてもらいました。

千葉県警 田中俊恵 本部長
「『期待と信頼に応える』。去年は『期待に応える』と書いたが、ことしはこれに『信頼』という言葉を加えた。ことしもさまざまな治安課題に県民目線でしっかりと取り組んでいくということ。やはり県民に信頼され、誇りに思ってもらえるよう、職員が職責を自覚しながら、真摯に職務に当たっていくこと。この2つを常に念頭に置きながら、警察運営にあたっていきたいと考えている」
「ことしも、職員一丸となって、県民の安心安全な生活を確保するために、一生懸命取り組んでいく」

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