神奈川県伊勢原市の市立比々多小学校(同市神戸)で、児童の登校を約10年間見守り続けた市内在住の飯島大輔さん(49)の飼い犬「ムック」に感謝状が贈られた。児童らに愛され続けたムックは贈呈式直前に死んだが、飯島さんは「ムックとの活動は日常でした。今は『ありがとう』と伝えたい」と声を振り絞って感謝した。
ムックと飯島さんとの出会いは2013年1月。譲渡会に来た飯島さんがポツンとおとなしそうなムックに一目ぼれして引き取った。
当時、小学2年の長男の登校を見守るために活動を始めていた飯島さんは、飼い始めたムックを連れて行った。子ども好きで誰が触れても嫌がらないムックは一躍、児童らの注目の的になり、常に輪の中心にいたという。
その後に入学した長女の卒業後も「子どもが関係する悲惨な事故が相次いでいた。子どもたちを守りたい」とコンビでの見守りを継続。散歩の時間に合わせて下校時も行った。
その間、ムックは一度も大病することはなかったが、昨年12月15日に体調を崩すと、血管に悪性の腫瘍が見つかり、転移も見つかったという。
すぐに治療を受けたムックは元気を取り戻したが、体調面を考慮して、同月23日の終業式をもって引退。その後も元気な姿を見せていたが、今年1月2日夜に容体が急変し、家族に見守られて旅立った。
ムックの功績は計り知れず、同小の臼井裕二校長は「ムックのおかげで登校できた子もいる。児童らを癒やし、勇気づけてくれた大切な存在で、本当に感謝の気持ちでいっぱい」と思いをはせた。
10日の贈呈式で臼井校長からムックの死が伝えられると、児童らに悲しみが広がった。出席した飯島さんは「思い出はたくさんあり過ぎて話せない。本当に感謝の一言です」と話した。