SPEEDの魅力とは? 安室奈美恵や三浦大知を輩出した沖縄アクターズスクール出身!  1月14日は上原多香子の誕生日! 「my first love」でソロデビュー

安室ちゃんの妹分的な存在として登場したSPEED

1996年、シングル「Body & Soul」でデビューしたガールズユニットSPEED。小学5年生から中学2年生の4人の女の子たちは、あまりにも幼くあどけなくて、お茶の間の私たちもまるで「親戚の女の子」を見守るような気持ちで彼女たちを見つめていたような気がする。

安室奈美恵を先輩に持つ沖縄アクターズスクール出身で、「歌って踊る」を継承した、安室ちゃんの妹分的な存在として登場した少女たちーー。

島袋寛子と今井絵理子がメインボーカルを、上原多香子と新垣仁絵がダンスとコーラスを担当。島袋は一番幼く、デビュー当時は11歳だったというのだから驚く。島袋は子供ながらにして抜群の歌唱力と驚くほどのハイトーンボイスでメンバーを引っ張っていたし、今井は可愛い顔立ちで、歌唱力も抜群だった。新垣は一番年上であり、個性の塊のアーティスト的な存在。そして上原は、とにかくお人形のような美少女ぶりが際立っていた。メンバーそれぞれにカラーがまったく違っているところも、SPEEDの魅力のひとつだったように思う。

島袋のハイトーンボイスと今井の表現力豊かな歌声

SPEEDといえば、なんといっても、ボーカル2人のハイトーンボイスがカッコよかった! 島袋のハイトーンボイスは、「子供だから高音が出るんだよ」なんていうレベルのものではなかったし、高い音になればなるほど、パンチ力が増していく独特な歌声の強さは、とても素晴らしかった。また、今井の歌唱力も抜群で、12歳とは思えないくらい気高く凜々しく、大人っぽくて、表情豊かなものだった。

弾けんばかりの笑顔で、元気いっぱい踊りながら歌う彼女たちの姿は、子供たちの無邪気なお稽古ごとレベルではまったくなく、幼いながらも “本物” だった。

このほかにも多くの人たちを惹きつけた理由がある。それは楽曲のクオリティの高さだ。一度聴いたら忘れられないキャッチーさと、美しいメロディー。アップチューンな楽曲は今にも爆発しそうなほど疾走感に溢れ、バラードのメロディーはどこまでもせつなく心に響く…。そしてどの曲にも共通して感じる「懐かしさ」。この「懐かしさ」は一体どこから来るのだろう…。SPEEDの曲が発表されるたびに、ずっとその事を考えていた。周囲でも、年上世代や同世代が「SPEEDの曲って、いいよね」と高評価していたことも不思議だった。

楽曲の魅力 幅広い層を惹きつけた「懐かしさ」の理由

そしてそんな謎が解けたのは、作詞・作曲・プロデュースの名前を見たときだった。伊秩弘将。その人の名前がSPEEDのほとんどの楽曲にクレジットされていたのだ。

80年代を生きた一人として、伊秩弘将の名前を聞いて一番に思い浮かぶのは、彼が作曲した渡辺美里の「IT'S TOUGH / BOYS CRIED(あの時からかもしれない)」、「恋したっていいじゃない」だ。90年代でいえば、カラオケで歌いまくった93年リリースの久宝留理子「男」。森高千里には曲だけでなく、詩も提供するなど、挙げればキリがないほどの名クリエーターだ。自然と伊秩弘将の曲を聴いて育った世代の私たちにとって、伊秩サウンドはDNAレベルで心に刻み込まれているものだ。SPEEDの曲が幅広い層から支持された「懐かしさ」の正体とは、楽曲を手掛けていたのが伊秩弘将だったからではなかっただろうか。

河村隆一プロデュースで、先陣を切ってソロ活動を開始した上原多香子

さてそんなSPEEDは名曲「White Love」や「my graduation」を残し、突然、2000年に解散。その名の通り4年ほどの短い期間を全速力で駆け抜けていった。

解散発表の前には、メンバーもそれぞれにソロ活動を開始。その先陣を切ったのが上原多香子だったのは、少し意外だった。パッツン重めの前髪とサラサラの髪、整った顔立ちはお人形のように美しく、メンバーの中でも一番大人びて見えた。こんなにも美少女でありながら控えめで、どことなく何を考えているのか掴みにくい… そんな雰囲気を持っていた。

そんな彼女が解散前の1999年、「my first love」でソロデビューを果たす。サウンドプロデューサーを務めたのは河村隆一。河村らしいメロディアスな曲を、彼女の歌声が淡々となぞっていく。上原の歌声はまったくクセがない。言うならば「無」であり、「真っさら」といった言葉がしっくりくる。自分の色らしい色を出さず、ただ真っ直ぐに歌いあげる歌声は逆にとても新鮮に映った。

2001年には資生堂のCMにも出演。化粧品ブランドの中でも最高峰のCM出演でも、上原はどこか「無」で、やはり自分から前へ前へと出ていくタイプにも見えなかった。そんな彼女の「無欲さ」みたいものが、「my first love」の歌声にも表われていたように思う。

それにしても、SPEEDの曲を改めて聞き返すと本当に名曲揃いだ。もっと素晴らしい曲を送り出して欲しかったなぁと思うものの…。あれは子供から少女へ上っていく時代にしか残せなかった、何か特別な魔法のようなものだった気もする。

カタリベ: 村上あやの

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