ボクシング 勝つことより強くなることを追い続ける 田中那知(鶴崎工業1年) 【大分県】

ボクシングを始めて8カ月足らずで九州王者となった。鶴崎工業の田中那知は向上心と吸収力を発揮し、今も成長を遂げている。田中に対し、飯田育夫監督は「センスもあるが気持ちが強く、素直。貪欲で聞く耳を持っている」と、ボクシングが上達する条件を持っていると話す。

中学3年時に練習場に訪れた田中は、飯田監督から「入学したときにボクシングをしたいと思ったら入部してくれ」と、まずは受験に合格するために勉強を頑張れと伝えられ、基礎体力向上のための練習メニューを渡された。田中は受験勉強の合間に、黙々と練習メニューをこなし、高校入学とともにボクシング部に入部した。

仲間とともに練習に励む

ボクシングに対する情熱は同級生に比べると圧倒的に強く、基礎体力も群を抜いていた。デビュー戦も早く、6月の県高校総体では階級を上げてミドル級に出場し、優勝する。8月の全国高校総体にも出場したが、初戦で優勝候補と対戦して秒殺でKO負けを喫す。経験も実力差も歴然であったのは分かっていたが、田中は「情けなかった」と悔し涙を流した。この敗戦を機に、目の色が変わった。勝ちたいという思いより、強くなりたい気持ちが大きくなった。練習に打ち込む熱量はさらに増した。

10月の県高校新人大会では本来のライトウエルター級に出場し、翌月の九州大会で優勝して全国高校選抜大会の出場権を勝ち取った。「まだまだ課題だらけ。自分の得意な距離で打ち合えていないのは足が使えていないから」と振り返る言葉は反省だらけなのは、強くなりたい思いが強いからこそ。2度目の全国大会では「勝つことも大事だが、自分の課題を克服して攻める気持ちを全面に出したい」と理想のボクシングを追い求める。

九州王者となった田中那知

(柚野真也)

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