「客から『また、値上げをした』といわれるのは厳しい」“過去最悪”鳥インフル感染拡大で鶏肉や卵の価格高騰に各地で悲鳴 養鶏業者も「祈るしかない」

2023年に入り、SBSなどJNN系列28局のニュースサイト「TBS NEWS DIG」内で一気に増えてきたのが、鳥インフルエンザに関する記事。1月7日からの1週間だけでも、全国で50本の記事が掲載されました。いま、高病原性鳥インフルエンザの陽性確認が各地で相次いでいます。

1月13日もニワトリの殺処分が行われています。新潟県上越市内の養鶏場では、高病原性鳥インフルエンザの陽性が確定し、13日朝から、ニワトリ10万5000羽の処分が始まりました。

<松野博一官房長官>

「約1102万羽が殺処分の対象となり、本日時点で令和2年度を上回る、過去最多となっている」

過去最悪のペースで進む鳥インフルの感染拡大。13日午前に開かれた政府の関係閣僚会議でも話題に上ったのが、卵や鶏肉の安定的な生産供給です。いま、これらが鳥インフルの影響をもろに受けています。

静岡市葵区にある唐揚げ専門店。毎日、生の鶏肉を仕入れているため、価格には敏感です。

<天下鳥ます 静岡店 鈴木方紀店長>

Q.いつから、どれくらい値上がりしたのか?

「2022年10月頃から鳥インフルエンザの影響を受けて、10月から現在を比べると、1日の仕入れで500円値上がりしている」

この店では、2022年10月に唐揚げを10円、弁当も20円値上げしましたが、利益はなかなか出ません。

<天下鳥ます 静岡店 鈴木方紀店長>

「(さらに)値上げをしようか、すごく迷うけど、値上げをしたばかりということもあり、『また、値上げをした』といわれるのは厳しいので我慢しようかなという状況」

この背景には、養鶏場での感染があります。静岡県と隣接する愛知県豊橋市でも、2022年12月、11年ぶりに鳥インフルが発生。静岡県内の養鶏場も他人事ではありません。

<青木養鶏場 青木広明社長>

「これから1月、2月が(鳥インフルエンザなどの感染症の)本番になってくるので、その前にこのような状況なので(感染対策を)やれることはやって、後は祈るしかない心境」

青木さんの養鶏場では、鶏肉用でおよそ40万羽、卵を産むニワトリをおよそ3,000羽飼育しています。万一、自分たちはもちろん、近くの養鶏場が感染した場合も大きな影響があるといいます。

<青木養鶏場 青木広明社長>

「自分たちが気をつけていても、近くで鳥インフルエンザが発生してしまうと、周辺3km、10kmで(出荷などの)規制が掛かるので供給が滞ってしまう」

鳥インフルエンザが発生した場合、そこを中心に3km以内は、農場内からの二ワトリの移動は禁止。さらに10km以内は、区域の外への移動ができなくなります。この規制が価格高騰に拍車をかけています。

静岡市内のスーパーでも、需要が多いこの時期の鶏肉の価格の扱いに頭を痛めています。

<田子重 西中原店 増田克己店長>

「他店のスーパーとの競争もあり、値上げするのも大変」

田子重西中原店(静岡市駿河区)では2023年に入り、特売日で鶏肉を扱う回数は減ったといいます。鳥インフルの影響は、私たちの家計にも大きく広がっています。

今回取材をしたスーパーによりますと、例年、年始には価格が下がる傾向の卵の価格が高騰していて、1パック100円程度が倍近くになっているということです。静岡県内でもすでに4件確認されている鳥インフル。幸い、養鶏場での感染は現時点で確認されていません。これ以上、被害、影響が広がらないことを願うばかりです。

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