目的は代引きの高級腕時計…宅配業者切り付けた22歳男、睡眠薬で「心神喪失だった」初公判で無罪主張

さいたま地方裁判所=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2021年4月、埼玉県さいたま市大宮区のマンション敷地内で運送会社従業員の男性2人を切りつけ、高級腕時計を奪おうとするなどしたとして、強盗殺人未遂や銃刀法違反、窃盗などの罪に問われた、住居不定、無職の男(22)の裁判員裁判の初公判が13日、さいたま地裁(金子大作裁判長)で開かれた。男は「けがを負わせたことは事実だと思う」などと供述。弁護側は「事実関係は争わないが犯行時、心神喪失だった」として、強盗殺人未遂と銃刀法違反については無罪を主張した。

 冒頭陳述で検察側は、男は犯行の2日前、高級腕時計を奪う目的で、代引きで腕時計3本を注文したと説明。「配達員を待ち伏せし、エレベーターの扉が開いたところを包丁で切りつけた」と述べた。

 切りつけた後、男は男性配達員1人を追いかけたが逃げられると、自身も逃走。「コンビニエンスストアで飲み物を購入後、自転車を盗んだ」とした。

 一方弁護側は、男は犯行前、「睡眠薬を10錠服用した」と説明。犯行時は意識障害などに陥り、「著しい意識変容が起きていた」とした。

 起訴状などによると、男は2021年4月22日、同区のマンション内で高級腕時計3本(販売価格計938万円)を届けに来た配達員の男性=当時(34)=の頭や肩を切りつけて重傷を負わせ、別の配達員男性=当時(53)=の顔を複数回切りつけ、後遺症を伴う重傷を負わせ、高級腕時計を奪おうとするなどしたとされる。

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