足利銀行、自治体に手数料打診 首長ら、負担増を懸念 24年4月から窓口収納など

足利銀行本店

 足利銀行(清水和幸(しみずかずゆき)頭取)が、同行を指定金融機関とする栃木県と県内24市町に対し、現在は無料としている公金の窓口収納や送金事務手数料の有償化を打診していることが13日、同行への取材で分かった。一部自治体からは年間数千万円の負担増になるとして、懸念の声も上がっている。足銀は「事務処理に相応のコストがかかる。適正な範囲で一部負担いただきたい」と丁寧な説明を続ける方針。

 足銀が提示している手数料は、窓口収納事務が税別で1件100円、振り込みが1件100~800円。有償化の開始時期については窓口収納が2024年4月から、振り込みは同10月からとしている。

 背景にあるのは足銀のコスト負担。これまでは手数料なしで、納税された公金の集計事務などを担ってきた。同10月からは、銀行間でやりとりする公金についても手数料がかかるようになるため、新たなコストも増える見込み。これらの要因から、足銀は21年夏以降、各自治体に有償化の方針を説明していた。 

 昨年3月、総務省は全国の自治体に対し、収納業務の効率化などを進めるため、適正な経費負担の見直しを通知し、他県でも同様の動きが広がりつつある。

 こうした中、13日宇都宮市内で開かれた県市長会議では、一部首長から懸念が示された。栃木市の大川秀子(おおかわひでこ)市長は「大きな負担が押し寄せる」。鹿沼市の佐藤信(さとうしん)市長は「足並みをそろえ、早急に結論を出すべきだ」と市長会としての対応を求めた。

 現時点で年間1億円近い負担増が見込まれるという県は「必要経費の負担は理解できる。積算根拠を検討し(金額の)妥当性を判断したい」と受け止めた。

 一方、高根沢町の指定金融機関となっている栃木銀行は有償化について「検討していない」としている。

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