運転者はどうするのが正解? 横断歩道で歩行者から「どうぞ」 【あなた発 とちぎ特命取材班】

横断歩道の手前に表示されているダイヤマーク=11日午後、宇都宮市下戸祭2丁目

 信号機のない横断歩道を渡る時、手を上げた場合の車の停止率を独自調査し、昨年11月に報じた下野新聞「あなた発 とちぎの特命取材班」に、今度はドライバー目線の疑問や意見が寄せられた。「運転中、横断歩道で歩行者から道を譲られた場合は」「自分が停止しても対向車が止まらない場合はどうすればいいか」。2018年の全国最下位から停止率や順位が上昇しつつある栃木県だが、まだ浸透していない横断歩道を巡るルールもあるはず。県警交通部門のプロに聞いてみた。

 信号機のない横断歩道に立つ歩行者を見つけ、減速し一時停止する。ところが、歩行者から「行っていいよ」と手で促される。記者もそうした“譲られた”経験がある。一時停止はドライバーの義務だが、通過したら違反になるのか。

 「歩行者の横断の意思を妨げていなければ違反にはなりません」。県警交通指導課の角山弘(かくやまひろし)次長(49)はそう説明した。ただ、通過する際には「道の両側をよく確認してほしい」と強調。反対車線側の歩行者に気付かないケースがあるためだ。

 自分が一時停止しても、対向車が止まらず、歩行者が横断できないケースもある。そんな時も歩行者を優先し、一時停止を続けるのがルールだ。

 軽車両の自転車が横断しようと止まっている場合はどうか。角山次長は「自転車にまたがって待っていても、降りれば歩行者扱い。車は一時停止して」と解説する。自転車も横断歩道利用時は歩行者の通行を妨げてはならず、「自転車を降りて横断を」と指摘した。

 視界が悪くなる夜間。「暗くて気付かず、素通りしてしまうことがある」との声も寄せられた。交通企画課の湯澤宙輝(ゆざわひろき)課長補佐(41)は「横断歩道の手前の路上にあるダイヤマークに注意して」とアドバイスした。白いペイントのマークは「この先に横断歩道がある」と予告する意味がある。車両は原則、横断歩道手前を停止可能な低速で走行しなければならない。マークは減速の目印になる。

 正直、記者もあまり意識していなかった。昨年12月下旬、宇都宮市中心部の横断歩道で通過車両を調べると、マークの前でブレーキランプをともす車はほぼなし。さらなる停止率の向上には、マークの意味を浸透させる必要がありそうだ。

 さまざまなケースの取材中、2人のプロが口をそろえて求めたのは「歩行者や交通弱者への思いやりを持った運転」。それはあらゆるルールに通底するドライバーとしての原点だった。

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