「火消し男の心意気 荒技いざ披露」 出初め式ではしご乗り妙技、福井県の嶺北消防組合

勇壮なはしご乗りを披露する越前三国鳶隊=1月14日、福井県の坂井市みくに市民センター駐車場

 福井県の嶺北消防組合の出初め式が1月14日、同県の坂井市三国体育館などで開かれた。坂井消防団の「越前三国鳶(とび)隊」が、団員の士気高揚と無火災を祈り、はしご乗りの妙技を披露した。

 体育館内での式典の後、みくに市民センター駐車場で屋外式典が行われた。吹奏楽隊の演奏とともに、消防職員や坂井、あわら両市の消防団員による分列行進が行われ、指揮車やポンプ車など30台の車両も続いた。

⇒1人は心臓マッサージ、1人はAEDを取りに走り…救命成功 福井県坂井市の企業社員2人に消防が感謝状

 小雨が降りしきる中、鳶隊演技では、法被姿の5隊約80人が行進。拍子木を鳴らしながら、手提灯や隊番が書かれた「纏(まとい)」を持ち登場した。八十島一司隊長が「一筆啓上火の用心 火消し男の心意気 今に伝えし荒技を いざ披露せん」と口上を述べ、演技者は支え手と息を合わせ高さ6メートルの竹はしごに登った。

 側木に足をかけて両手を離す技「肝試し」を皮切りに、「火の見」「足留」などの合わせ技を次々と披露。それぞれが「灰吹き」「両膝八艘(そう)」といった個人技を見せ、片足を固定して水平に身を伸ばす大技「鶯の谷渡り」からの「肝返り」、「敬礼」で締めくくった。

⇒【動画と複数写真】記録的大雨で集落孤立、浸水被害…住民救助の一部始終を福井県防災ヘリ隊員カメラが捉えた

 今回が演技者として最後の舞台となる坪川武也(52)さん=坂井市=は「鳶歴14年を晴れやかな気持ちで締めくくれた。長年続く奥深い鳶の歴史の一端を担えてよかった」とすがすがしく語った。

 式には消防職員や団員、来賓ら約930人が参加。嶺北消防組合管理者の池田禎孝坂井市長らがあいさつした。最後にはポンプ車11台による一斉放水も行われた。

© 株式会社福井新聞社