ウサギの巣穴のように… オリオン通り地下を調査 お得なランチ、隠し扉の先に休憩室

味希の入り口。階段(右)を降りて店舗へ

 ■元気になる“穴場”

 東武宇都宮百貨店側からオリオン通りに入ると、すぐに「600円ランチ」の看板が目を引く。階段を下りた先にあるのが昼は定食屋、夜は居酒屋として営業する「味希」(江野町)だ。

 店主の礒(いそ)みきさん(74)と小松栄子(こまつえいこ)さん(85)が2人で切り盛りしている。ランチ定食は人気の「ミックスフライ」など20種類ほどをそろえる。全品600円で、どれもボリューム満点だ。できるだけ手作りにもこだわっているという。

 2008年に開店した同店。「サラリーマンに安いランチを提供したい」と、路面店よりも賃料が割安な地下を選んだ。昨年11月までは破格のワンコイン(500円)でランチを提供してきた。物価高騰によりなくなく値上げしたそうだが、それでも財布に優しい。「最初は入りにくいかもしれないけど、一度来たら常連になってくれる人が多い。全然もうけはないが『おいしい』の声がうれしいので続けています」と礒さん。家庭的な味と雰囲気に元気をもらえる“穴場”だった。

 ■まるで忍者屋敷

 洋菓子店「Patisserie Infini」(江野町)は地下を事務所兼休憩室として活用している。店舗隣に入り口があると聞いて探してみたが、階段はどこにもない。すると突然、白い壁が動いて中からオーナーパティシエの久保真也(くぼしんや)さん(38)が現れた。間違って無関係の人が入ってこないようにと設置された隠し扉。さながら忍者屋敷のようだ。

 もともとこの建物は西隣と一体で洋服店「YAMATO」として営業していた。20年ほど前に閉店し、現在は改築した上で別々の店となっている。地下もワンフロアだったが、三つに分割された。久保さんは「地下は洋服店の荷物置き場として使われていたと聞いた。地下も分割されてしまったので、それぞれが地下への出入り口を造ったそうだ」と教えてくれた。

ボリューム満点で人気を集める味希の「ミックスフライ定食」
隠し扉から顔を出す久保さん

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