「クズ芸人」岡野陽一・厳選インタビュー 「芸人なんて、今までうまくいってたやつはならない。ひねくれて、ひねくれて」

「パチンコも人生も結果論」と語る岡野陽一=東京都内

 パチンコ、競馬などのギャンブルや借金にまつわるエピソードトークで注目され、年末年始もテレビに引っ張りだこだった福井県敦賀市出身の「クズ芸人」岡野陽一(41)。1月1日付の福井新聞に掲載しきれなかったインタビュー部分を厳選し、キーワードとともに紹介する。これを読めば“岡野ワールド”を理解できるかも。

⇒【1月1日付インタビュー】岡野陽一「芸人なんてギャンブルみたいなもん」

【吉本は“メジャーリーグ”】

 子どものころ、ダウンタウンさんのテレビ番組「ごっつええ感じ」ばっかり見て、学校ではその話をよくしていた。「昨日見た?」って。そのころから芸人になろうと。高校2年の時、中学時代の友達に「(ダウンタウンが所属する)吉本(興業)行こうぜ」って年賀状を送った。でも、もう(その友達の)進路が決まってて。ダウンタウンに憧れたんだったら吉本に行けばよかったんですが、いきなり“メジャーリーグ”に行く感じが怖くて。2008年に東京のプロダクション(人力舎)に行った。

【鶴瓶さんが学んだ大学へ】

 将来は芸人になることしか考えてなくて、就職とか一切考えてなかった。(でも)周囲に流されるように大学に行くことに。京都産業大を調べたら(笑福亭)鶴瓶さんが在学していたと分かって。受けられる全部の学部を受けた。

 (合格した中から外国語学部を)選んだのは女の子が多そうだったから。でも、女の子よりパチンコにはまった。夢見たキャンパスライフではなかった。鴨川で新歓コンパがあったが、明るいやつがウケて、うまくできなかった。女の子と知り合いになりたかった。パチンコは逃げ道になったのもある。

 芸人なんて、今までうまくいってたやつはならない。ひねくれて、ひねくれて。高校は悪いやつがモテた。でも僕はおもしろい方が楽しかった。モテはしないけど。笑いとはそんなもん。うまくいかないやつがやるもの。

【うそはついちゃいけない】

 (4年間で単位取得ゼロで中退した大学時代は)お酒も飲まずパチンコばかり。大学には学食を食べに行くぐらい。授業には2、3回出たけど、全部英語だったので分からんかった。

 まんじゅう屋さんでバイトしてたが、店主が野球が大好きだったので、野球部だったとうそをついた。(本当は)ソフトテニス部だったのに。でも気に入られて。そうしたら運悪く、地元の高校の野球部がバイトに入ってきた。「こいつ、いなかったよ」って言われて辞めました。うそはついちゃいけないんだなって(笑)。

 日雇い(労働)もした。日給8千円の軽作業。(パチンコの)軍資金は親から借りたり、日払いの8千円をもらって、そのままパチンコでなくなる。あれが一番きつかった。

【パチンコも人生も結果論】

 すべて結果論。パチンコも帰り際に楽しかったらそれでいい。人生も結果論。良かったなと思ったらそれでいいし。(パチンコでいくら打っても当たらない)「ハマって」いる時はきついが、ここを耐えて(パチンコのハンドルを)離さなければ絶対どっかで当たるんで。人生のつらい時期もそうだと思う。

 ◇岡野陽一(おかの・よういち) 福井県立敦賀高校卒、京都産業大学中退。2008年に人力舎のお笑い芸人養成所「スクールJCA」に入り、コンビ「巨匠」を結成。14、15年にコント日本一を競うキングオブコント決勝進出。16年にコンビ解散後、ピン芸人として活躍。ひとり芸日本一を決めるR-1ぐらんぷり2019の決勝に進出。22年のキングオブコントでは即席ユニット「最高の人間」で決勝進出。41歳。

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