石鍋うどん専門店 ぶに家 盛たに 〜 ここでしか味わえない石鍋うどん「ぶに」を備後名物に。一度食べたらやみつき!たぎるスープはインパクト大

「うどんといったらアッサリと食べるもの」というイメージがありませんか?
たしかにダシのよく利いた、透明感があるスープのうどんはおいしいですよね。

でも福山市には、それとは違った「ハマってしまううどん」があります。

それは「ぶに」という変わった名前のうどんです。
石鍋で提供され、熱い湯気がたちこめ、スープはグツグツと音を立てています。

そんな名前も料理もインパクトがあるうどんを食べられるのが、福山市川口町の「石鍋うどん専門店 ぶに家 盛たに (以下、盛たに)」。

「ぶに」は個性豊かな6種類があり、時季限定のものもあります。

一度食べたらやみつきになってファンになるお客さんも多く、リピーターもたくさん。
遠くは、岡山市・倉敷市や広島市などからも通うお客さんもいるのです。

そこで、多くのお客さんをトリコにする石鍋うどん「ぶに」と、「石鍋うどん専門店 ぶに家 盛たに」の魅力について掘り下げます。

盛たには石鍋うどん「ぶに」が名物のうどん店

盛たには、福山市中部・川口町にあるうどん店です。

女性や年配、子供まで幅広いお客さんが訪れています。

しかも、ただのうどん店ではありません。

「ぶに」シリーズという、ユニークな名前の石鍋うどんが名物の店なのです。

さらに、「ぶに」以外にもぶっかけうどんシリーズや、定番の汁うどんシリーズもあります。

駐車場もたくさんあるので安心

なお、道路側の「盛たに」の名前が書かれていないスペースには、平日昼の駐車は控えましょう。

店舗裏にも2台分の駐車場がある

店内はカウンター席、テーブル席、座敷のテーブル席、座敷席があります。

カウンター席
テーブル席
座敷テーブル席
座敷席

なお、取材時は新型コロナウイルス感染症拡大対策のため減席中でした。

盛たには新型コロナウイルス感染症拡大対策にも大変力を入れています。

安心して利用できるのではないでしょうか。

盛たにのメニュー

2023年(令和5年)1月時点の情報。価格は消費税別

「ぶに」シリーズをメインに、いろいろなうどんがそろっています。

さらにはサイドメニューやドリンクも豊富です。

また盛たにでは、盛たに専用ギフトカードも販売。

ギフトカードは500円券が11枚つづりで、5,500円です。
1枚分お得になっています。

豊富にそろう盛たにのメニュー。
種類別に紹介していきます。

名物の石鍋うどん「ぶに」シリーズ

「ぶに」は石鍋うどんと呼ばれていて、石鍋で調理され、石鍋のまま提供されるうどんです。
そのため、グツグツとした熱々のうどんを楽しめるのが魅力。

また「ぶに」を注文すると、ごはん1杯が無料でついてきます。

スープとごはんがとても合うので、ごはんを食べながら「ぶに」を食べてもおいしいです。

さらに、漬物も付いてきます。

タクアン

「ぶに」は種類も豊富。

選ぶ楽しみも「ぶに」の魅力のひとつです。

辛いのがダメなかたは、初めてのメニューとして「黒ぶに」「塩もつ」もおすすめです。

ほかにも、時季限定の「ぶに」も登場します。

2022年12月の時季限定として「冬ぶに」がありました。

さらに「ぶに」はトッピングもできます。

「ぶに」シリーズのトッピング

人気のトッピングはヒレカツ、からあげ(鶏のからあげ)、もつまし、ニンニクなどです。

なかにはお気に入りのトッピングを入れて、約4,000円かけて「オリジナルぶに」をつくって食べるお客さんまでいるそうです。

なお赤ぶに・赤もつ・塩もつは、プラス260円で大盛に。
その他の「ぶに」は、プラス140円で1.5玉にできます。

地元・福山では「ぶに」の熱狂的なリピーターもいるそう。

岡山・倉敷や広島など、少し離れた地域にも「ぶに」のファンがいて、「ぶに」を目的に福山まで来るかたもいるほどです。

そんな「ぶに」シリーズの一部メニューを、詳しく紹介していきましょう。

「赤ぶに」はキムチのピリ辛とスープのうまみが広がりクセになる

「ぶに」シリーズの原点で、一番人気の「赤ぶに」。

赤ぶには通常の辛さに加え、1〜3辛まで辛さを追加できます
またトウガラシなしも可能です。

私は店長おすすめの「1辛」にしました。

登場と同時に、湯気をたちこめながらグツグツと滾(たぎ)っています。

まるでマグマのよう。

▼動画も撮影しましたので、グツグツを感じてみてください。

見るからにおいしそうです!

おいしそうな匂いもしてきて、ヨダレがこぼれ落ちます。

まずスープを口に運ぶと、ほどよい辛さ。

うまみが強くてピリ辛さが控えめに感じ、マイルドな味わいだと感じました。

そこへ、牛肉のうまみ、キムチのシャキシャキ感と甘酸っぱさとピリ辛さ、天かすの柔らかな食感と甘み、ネギのシャキシャキ感、糸唐辛子のからみつくような食感などが一体となり、複雑なおいしさを形成。

さらにモッチリとした太めのうどんの食感が絡んできます。

温泉玉子を混ぜると、まろやかな味わいに。

「赤ぶに」のポイントとなるのは、キムチ。

このキムチは、福山の人気キムチ店「キムチ美人本舗」製のキムチです。

「赤ぶに」を食べてみて、やみつきになる人が続出する理由がわかりました。

石鍋なので、長く熱々を楽しめるのもポイントだと思います。

途中でごはんを口に運びましたが、ふと考え止め、最後に残ったスープをかけて食べました。

これも「ぶに」シリーズの楽しみです。

「黒ぶに」はスパイシーさにまろやかさもある濃厚で奥深い味わい

ほかの「ぶに」シリーズでは、「黒ぶに」も食べました。

「黒ぶに」も石鍋でグツグツと滾った状態で登場です。

湯気とともにスパイシーな香りもしてきました。

▼動画も撮影しましたので、グツグツを感じてみてください。

「黒ぶに」のスープは濃い焦げ茶色で、意外とサラリとしています。

もちろん、スープは激アツ。

スープをすすると、まずカレーのほのかに甘くコクのあるスパイシーな風味を感じます。
それでいて、まろやかさもある奥深い味わいです。

そのあと、適度なピリ辛感があります。

うどん麺は、スープの焦げ茶色に染まっていました。

噛むとプニッとした感じの柔らかさと、適度なコシと弾力を兼ね備えたような食感です。

具材のキャベツは、柔らかながらシャキシャキ。

またやさしい甘みがあり、スープの風味と合います。

肉はたっぷりと入っていました。

肉の風味と脂身の甘さが、スープの中に溶け出しておいしいです。

そこへキムチのシャキシャキ感、酸味とちょっとピリ辛な味が感じられ、アクセントになります。

玉子は表面にチーズがかかり、おいしそうな焦げ目が付いていました。

そして玉子を割ると、玉子の味わいとチーズの風味が広がり、まろやかな味わいに変わります。

ほかにも、天カスなども入っていました。

「黒ぶに」はカレーの風味もありながら、複雑で奥深いコクのある味わいで、ごはんとの相性も抜群です。

ごはんは最後にスープをかけるために残すつもりでしたが、つい「黒ぶに」とともにごはんを全部食べてしまいました。

「塩もつ」は塩麹ともつのほのかな甘み・うまみが広がる

塩麹を使った「塩もつ」。
私はもつ好きなので、トッピングで「もつまし」にしました。

もちろん「塩もつ」も、石鍋でグツグツとした状態で出てきます。

▼動画も撮影しましたので、グツグツを感じてみてください。

運ばれてきた直後、ほんのりと甘さが感じられる香りがしました。
この甘い香りは、麹ともつの脂の香りだそうです。

注目は、中に入っているもつ

一切れがとても大きいんです。

そして、とてもプリップリの弾力あるもつです。

まるで焼肉屋で食べるホルモンのよう。

さらに、キャベツがたっぷりと入っています。

ほかに太モヤシやニラ。

鍋の中央には小エビとゴマです。

少し透明感のあるスープを飲んでみると、サッパリとした塩味ながらコクのある味わい。

そして、もつの甘みが感じられました。

さらにはキャベツや太モヤシやニラのシャキシャキ感、キャベツのほんのりとした甘みがからみ、もつの弾力のある食感と脂感と甘み、そしてエビ風味がやってきます。

うどんのモチモチ感と絡み合って、とてもおいしくなりました。

もつも食べごたえがあっておいしいです。
もつ好きのかたには、ぜひ食べてほしいと思います。

ぶっかけうどんシリーズ

盛たにといえば「ぶに」といわれるほど、「ぶに」の人気は圧倒的です。

いっぽうで盛たには、「ぶに」シリーズ以外のメニューも充実しています。

なかでも、ぶっかけうどんシリーズは根強い人気があります。

ぶっかけうどんシリーズも種類が豊富で、以下のようなラインナップです。

ぶっかけうどんは、冷たいもの温かいものが選べます。
これもぶっかけうどんの魅力ではないでしょうか。

なお、大盛はプラス260円です。

実際に食べたぶっかけうどんを、詳しく紹介しましょう。

「肉とろぶっかけうどん」は甘く煮た牛肉とトロロ・温泉玉子のマリアージュが魅力

ぶっかけシリーズから「肉とろぶっかけうどん」を食べました。

ぶっかけうどんに甘く煮た牛肉が載り、さらにトロロをかけ、その上に温泉玉子が載せてある具だくさんのうどんです。

ほかにもワカメ、刻みネギ、ゴマ、おろしショウガなどの具材が入っています。

ツユは、濃いめの焦茶色です。

飲むと甘めの味付けで、サッパリした味わい。
ダシの風味も広がります。

麺は太めで、つややかな表面が美しい。

コシがありながらも、少ししなやかでモッチリとした弾力があります。
ツユとの相性もピッタリです。

シッカリと全体を混ぜ混ぜして食べると、さまざまな味わいが複雑に絡み合って、飽きないおいしさになります。

麺とツユの味わいに加え、牛肉の食感と甘めの味付けと肉のうまみ、トロロの粘りのある舌触り、ワカメの食感、ネギの食感と風味、そしてショウガの風味・甘みなどが一体になるのです。

汁うどんシリーズ・その他のうどん

盛たにには「ぶに」・ぶっかけうどんのほかに、うどんの定番ともいえる汁うどんのシリーズもあります。

汁うどんのラインナップは以下のとおり。

さらに、「ぶに」・ぶっかけうどん・汁うどん以外のうどんもあります。

また「ぶに」以外のうどんにも、期間限定メニューが登場することがあります。

なお、いずれのうどんも大盛はプラス260円です。

なお「赤焼き」は「赤ぶに」を焼きうどん風にアレンジしたもの。

赤焼きにも、根強いファンがいるそうです。

サイドメニューなど

盛たには、サイドメニューも豊富です。

ごはんものもたくさんあり、うどんとミニサイズのごはんもののセットもあります。

ランチ限定のセットメニューも

ほかに、一品料理や飲み物、クラフトビールなどもありました。

次に、サイドメニューのなかから一部を詳しく紹介します。

「梅爆弾」は人気のサイドメニュー

梅爆弾 (うめばくだん)」という変わった名前のメニューがあります。

サイドメニューのなかでも人気があるメニューだそうです。

梅爆弾は、梅干し入りの丸いおにぎりを油で揚げて、ダシ汁をかけたもの。

ダシ汁は、まさに揚げ出し豆腐の汁みたいです。

ダシ汁をよく吸ったおにぎりは、噛むたびに焦げ目の食感と香ばしさが楽しめます。

そして、ダシの味わいが染み出てくるのです。

そこへ、適度な酸味と軽い甘さのある梅の風味がアクセントになり、口をリセットしていきます。

梅爆弾を食べて、梅入りのおにぎりと揚げ出し豆腐の合体のような感じだと思いました。

「肉めし」は懐かしい甘めのタレの味わい

うどんとセットで食べるため、小サイズの「ミニ肉めし」を頼みました。

よく似たメニューに「牛丼」があります。
牛丼は海外産の牛肉を使っていますが、肉丼は国産牛。

そして肉丼のほうが、甘めの味わいとなっています。

福山市内の老舗食堂などにある肉めし(肉丼)の味わいのような味で、地元・福山のかたが慣れ親しんだ味わいにしているそうです。

肉めしは、ごはんの上に甘い味わいの牛肉がタップリと載っています。

ごはんにもタレがかかっていました。

食べてみると、思ったより味は濃くなく、しつこくありません。

牛肉といっしょにごはんを食べると、肉の甘い味わいとうまみがごはんにピッタリです。

また、ミニのわりに意外と量は多めに感じました。

盛たにのFacebookやブログ、インスタ、スマホアプリにも注目!

盛たには、Facebookやブログ、Instagramに力を入れています。

Facebookやブログ、Instagramはほぼ毎日更新。
お得なキャンペーン情報やスタッフの日常などが投稿されています。

また、盛たにで食事中に、注文したうどんをFacebookまたはInstagramに投稿し店員に見せると、アイスクリームが1個サービス!

さらにiPhone(iOS)・Androidのスマートフォンアプリもあります。

アプリの日記も、ほぼ毎日更新。

アプリはポイントカードも兼ねています。
お店に行ったときにスタッフに見せると、ポイントが貯まります。

貯まったポイントに応じて食事券として利用できるのでお得。
実物のポイントカードと違って、無くすこともなく、カードを持っていく必要もないので便利ではないでしょうか。

またアプリ上で、お得なクーポンが発行されることもあります。

取材時には、アイスクリーム1個無料クーポンがあった

盛たにのアプリは、ダウンロードしておくといいかもしれません。

なお複数のクーポンやチケットなどの同時使用はできないので、注意しましょう。

毎月22日は「ぶにの日」!ポイントが5倍に

盛たには、「ぶに」との語呂合わせで毎月22日を「ぶにの日」としています。

「ぶにの日」に盛たにで食事すると、アプリのスタンプが5倍になるんです!

これはお得ではないでしょうか。

なお22日が定休日の場合は、翌営業日が「ぶにの日」になります。

一度食べたらトリコになってしまうほど人気の石鍋うどん「ぶに」。

「ぶに」の生みの親で、盛たにのオーナー・盛谷 和美 (もりたに かずみ)さんへインタビューをしました。

盛たにのオーナー・盛谷和美さんへインタビュー

一度食べたらトリコになってしまうほど人気の石鍋うどん「ぶに」。

「ぶに」の生みの親で、盛たにのオーナー・盛谷 和美 (もりたに かずみ)さんへインタビュー。

開業の経緯やこだわり、「ぶに」の誕生エピソード、今後の抱負ややっていたいことなどについて話を聞きました。

インタビューは2020年11月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

機械系のメーカーからうどん店へ転身

──はじめに、開業の経緯を教えてほしい。

盛谷 (敬称略)──

実は、私は最初からうどん業界や飲食業界で働いていたわけではありません。
もともと機械系のメーカーで働いていたんです。

出張が多い仕事だったんですが、香川県の宇多津町にも取引先がありました。

そこへ出張に行ったとき、取引先の社長がいつも決まって同じうどん店に連れて行ってくれたんです。

しかも、わざわざ宇多津から離れた高松市内まで車で移動して(笑)。

でもそこのうどん店がすごくおいしかったんですよ。
わざわざ宇多津から高松まで行く理由がわかりました。

以来、私も香川県に行くたびにそのうどん店へ行くほど好きになったんです。

──それが、うどん店開業にどう発展した?

盛谷──

前に勤めていた機械系のメーカーは、勤続15年を超え、ある意味やりつくした感じがしていました。

また、ちょうどそのころ業界を取り巻く環境も変わっていて、海外へ拠点が移され、海外出張も多かったんです。

自分の将来や業界の先行きを考えるなか、新しい何かに挑戦したいという気持ちが芽生えてきました。

最初は、私が好きだった車やパソコンなどに関係する業界に転職することを考えていたんです。

しかし、あるとき笠岡市内にあるうどん店で役員を務める知人から、新しい店長を探しているから来てほしいという声をいただきました。

私は、高松のうどん店がきっかけでうどんが好物になっていたんです。

うどんどころか飲食業界は、仕事として今まで経験がありませんでしたが、そのうどん店で働くことに決めました。

もともと父が食通で、子供のころいろいろな店へ連れて行ってくれていたので、「舌」は鍛えられていたと思います。

また料理も好きで、小さいときから料理番組もよく見ていて、料理もよくつくっていました。

そのような経緯もあって、本格的な料理の勉強や仕事経験はありませんでしたが、うどん店で働くことにしたんです。

勤務店が閉鎖、独立してうどん店を開業し人気メニューを存続させる

──うどん店勤務のあとに開業した?

盛谷──

そうですね。うどん店で約9年間、店長として働きました。

しかし、残念ながらそのうどん店は閉鎖することになったんですよ。
2012年(平成24年)7月のことです。

そこで自分でうどん店をやろうと思い、「ぶに家 盛たに」を開業しました。

開業は2012年12月。
場所は福山市三吉町、ちょうど福山税務署の北向かいでした。

そして2018年(平成30年)10月に、現在地へ移転しています。

──なぜ新しいうどん店への勤務ではなく、独立開業の道を選んだ?

盛谷──

私はうどん店の店長時代、いろいろな新メニューを開発していました。

機械系メーカー時代にいろいろアイデアを出す必要があったので、企画を考えるのが好きなんですよ。
そんななかで、お客様に好評なメニューもあってレギュラーメニューとして定着したものもありました。

そして現在の店・盛たにで看板となっている「ぶに」シリーズもうどん店の店長時代に考案したものなんです。

これらの人気メニュー、とくに「ぶに」シリーズの影響もあり、勤めていたうどん店は2011年(平成23年)ごろFacebookの「Facebookページ」人気ランキングのレストラン部門で全国11位になっていたんですよ!

さらに岡山県のFacebookページのチェックインランキングでは、6位になりました。

そんな状態でも、残念ながら店は閉めることになってしまったんです。

閉店のお知らせをすると、とてもたくさんのお客様が行列をなして食べに来てくれました。

私は「ぶに」シリーズに手応えを感じていて、さらに閉店を聞いて駆けつけてくれたお客様を見て、「ぶに」シリーズを始めとしたオリジナルうどんは存続させたいと思うようになったんです。

そのためには、独立開業してうどん店をするのが一番いいと思ったんですよ。

自慢の人気メニュー「ぶに」の誕生秘話

──看板商品の石鍋うどん「ぶに」について、誕生の経緯を教えてほしい。

盛谷──

さきほど話したとおり、「ぶに」シリーズは笠岡のうどん店時代に私が考案しました。
最初にできたのは「赤ぶに」です。

赤ぶにが生まれる前、私が最初にヒットさせたオリジナルメニューがぶっかけうどんと天ぷらを合わせた「ぶっ天」といううどんでした。

これが非常に人気になったんですが、天ぷらを揚げる時間がかかるので、とても忙しく大変だったんです。

そこで注文が分散されるように、天ぷら以外の新しい人気メニューをつくろうと思い、誕生したのが「もつ鍋」でした。

今でいう「一人鍋」のタイプです。

満を持して登場させた、もつ鍋はヒットしました。
そして、もつ鍋にバリエーションを増やそうと思いついたのが、キムチ入りのもつ鍋。

味の試行錯誤をし、誕生したのが「チゲ鍋」です。
これが、のちの「赤ぶに」の起源となりました。

そしてあるとき、テレビ番組で石鍋で料理をしているのを見て「これはおもしろそう!」と感じ、さっそく石鍋でチゲ鍋うどんをつくってみたら、すごくおいしかったんですね。

ただ調理時間が思ったよりかかったので、メニューに登場することはありませんでした。

盛谷──

そうなんです。
ただ、赤ぶにが世に出るきっかけとなったイベントがありました。

それが2010年(平成22年)の第2回「笠岡ラーメンパラダイス」です。
そこでキムチを使った「強烈ラーメン」というのが出されると知ったんですよ。

そのラーメンを見て、これは私が以前つくった石鍋のチゲ鍋に似ているなと感じました。

試しにFacebookで笠岡ラーメンパラダイスに合わせて、私がつくった石鍋のチゲうどんの画像とともに投稿をしてみたんです。

するととても反響がありまして、「どこで食べられるのか」「私も食べてみたい」という問い合わせがあったんですよ。

それで急遽メニューに登場させることにし、石鍋をたくさん買い、石鍋調理用にガスコンロもたくさん並べてセッティングしました。

Facebookで反響があったとおり、石鍋チゲうどんは大人気となったんです。

──「ぶに」という名前の由来は、備後や岡山・香川などの方言?

盛谷──

はい。「ぶに」というのは「分(ぶん)」「もの」などを指す方言ですね。

ただ調べてみると、元々は全国的に使われていた言葉のようです。
じょじょに使われなくなって、今では全国でも一部の地域でのみ使われている言葉となったそう。

使われなくなった言葉だからこそ、あえてメニュー名にしたらインパクトがありますよね。

ちなみに「ぶに」というメニュー名になったのは、ある常連のお客様の提案でした。

当初は石鍋チゲうどんは、Facebook上でしか紹介していなかったんです。

だからそれを知らない人は、ほかの人が石鍋チゲうどんを食べているのを見て、メニュー名がわからずに「あの”赤ぇぶに“(赤いやつ)をくれぇ」と言うお客様が何人かいました。

それを聞いた常連のお客様が「だったら、そのまま”赤いぶに”という名前にしたら?」と。

インパクトがあっておもしろいと思って、メニュー名を「赤いぶに」としました。

現在は、少し短くして「赤ぶに」になっています。

これが「ぶに」の名前の由来ですね。

その後「赤ぶに」の人気はさらに高まり、赤ぶにファンがFacebook上のグループで「赤いぶにの会」をつくったりして盛り上がりました。

遠方からのお客様も一気に多くなりましたね。

──「赤ぶに」以外の「ぶに」が増えたのは?

盛谷──

笠岡時代は、赤・白・黄の3種類でした。

赤がヒットしたあと、取引のある会社のかたからパスタソースの話を聞いたんです。
それをヒントに「白いぶに (のちの「白ぶに」)」を考案しました。

赤と白ができたんで、ほかの色のメニューもほしいなと思ったんです。
そこでFacebookでアイデア募集をしてみました。

集まったアイデアをヒントに、カレー風味の「黄色いぶに (のちの「黄ぶに」)」が誕生したんです。

──赤・白・黄以外は独立してから?

盛谷──

はい。次に、広島から来ていたお客様から提案されたのをヒントに4つめの「黒ぶに」が生まれました。

そして笠岡のうどん店時代にヒットした、一人鍋のもつ鍋を復活させようと思ったんですね。

そう考えていたとき、食品販売店で買い物をしていたんですが、店に並んでいた塩麹(こうじ)が目に飛び込んできたんです。

それでピンときて、塩麹を使ったもつ鍋うどん(のちの「塩もつ」)を思いつきました。
そしてその応用で辛いもつ鍋うどん(のちの「赤もつ」)も考えついたんです。

ただ、2年くらいは知っている人が注文する「裏メニュー」でした。
なかなかメニューが更新できなくて(笑)。

その後、正式に「塩もつ」「赤もつ」がメニューに登場しました。

盛たにの商圏は50キロメートル?!

──どんなお客さんが多い?

盛谷──

もちろん、地元のかたが多いです。
熱狂的ファンといいますか、けっこうな頻度で通ってこられるリピーターのかたも。

それから少し離れたエリアからの常連客もいます。

東は岡山市、西は三原市あたりから定期的にやってくるお客さんも多いんですよ。
岡山のマスメディアにも取材していただきました。

なかには、遠く広島市内から来るかたもいるほど。

いずれも当店の「ぶに」シリーズが目当て。

「ぶに」のような石鍋うどんは、あまりないようで、インターネットやSNSで知って当店にやってきて食べ、ファンになるようですね。

普通、飲食店の商圏は約5キロメートルといわれています。
でも当店は、商圏が約50キロメートルといっているんですよ(笑)。

──FacebookやInstagramなどのSNS、スマートフォンアプリを接客活用しているようだが?

盛谷──

Facebookは、前の笠岡のうどん店時代から始めました。

ちょうど2010年(平成22年)ごろからFacebookの講座が多く開催されるようになって、私も参加してみました。

そのときに習ったことを生かしています。

さきほどのように、「ぶに」のヒットにはFacebookが関わっていますので、Facebookを活用したのは正解でした。

独立した今もFacebookを活用しています。
これに加えて、Instagramも使うようになりました。

アプリもスマートフォンが普及してきたころに導入し、スタンプカードやクーポン発行など、いろいろ活用しています。

──SNSやアプリで工夫していることは?

盛谷──

Facebookは、ほぼ毎日更新しています。 投稿時間も、よく読まれる時間帯をねらっているんです。

写真は一番重要なので、キレイな写真が撮れるように工夫しています。

文章は、あえて長文にしていますね。
普通は長文は読まれないというのがセオリーなんですが、長文にして個性を出しているんですよ。

またアプリでもFacebook同様に、毎日更新・写真・長文で投稿していますよ。

私はもともと企業で働いていていろいろな施策をしていたのと、パソコンに興味もあったので、これは強みだと思います。

Facebookやアプリをこまめに更新するのを楽しんでいます(笑)。

「ぶに」シリーズをはじめ、メニューの多くは盛たにオリジナル

──「ぶに」をはじめ、うどんメニューが充実している印象がある。

盛谷──

一部をのぞき、ほとんどのうどんメニューが当店のオリジナルうどんです。

「ぶに」はもちろん、ぶっかけシリーズや汁うどんシリーズの多くも私が考えました。

笠岡のうどん店時代に考えたものも多いですね。

肉うどんなど一般的な種類でも、当店のオリジナルの味や工夫をしています。

大手うどん店もたくさんありますし、一般的なうどんでは値段も含めて大手には太刀打ちできません。

個人店ならではのオリジナリティーがあるうどんに力を入れています。

とはいえ、やっぱり盛たにに来たら「ぶに」シリーズを最初に食べてほしいですね。

「今まで食べたことがないようなうどんだ」「やみつきになるおいしさだ」という声をよくいただきます。

だから2020年に入り「石鍋うどん専門」を店名に掲げて、わかりやすくしました。

年配のかたにも「ぶに」を食べてファンになっていただいています。
これはうれしいですね。

今後は多店舗化も視野に

──今後の展望や抱負、やってみたいことを教えてほしい。

盛谷──

ひとつは、薬膳(やくぜん)メニューを考えたいですね。

今、オリジナリティーのあるメニューがたくさんあるので、あまり増やさないほうがいいと思っています。
そんななかでも、薬膳メニューはやりたいんです。

うどん屋の宿命といいますか、私は小麦アレルギーになったんですよ。
とても苦しくて大変で、辛い時期がありました。

その経験を通じて、食の大切さを知ったんです。
そして、薬膳についていろいろと調べるようになりました。

まだ薬膳について勉強中ですが、お客さんそれぞれの状況に合わせられるような薬膳のメニューをつくれたらいいなと思っています。

もうひとつは、多店舗展開を目指したいですね。

当店以外にあまりない「ぶに」シリーズが人気で、商圏約50キロメートルのエリアからもお客さんが来ています。

だったら、よりたくさんのかたに当店の「ぶに」シリーズを食べていただきたいと思うようになりました。

なので、商圏約50キロメートルよりも遠くのエリアに支店を出したいですね。

福山で人気の石鍋うどん「ぶに」シリーズ

6種類の個性あふれる石鍋うどん「ぶに」シリーズ。

Facebookから人気に火が付きファンが増えていったそうですが、私も一度食べてやみつきになりました。

熱々でグツグツと滾(たぎ)っていることや、6種それぞれの味わいも魅力ですが、トッピングやごはんと合わせた食べかたなども「ぶに」の楽しみだと思います。

お客さんそれぞれのトッピング、食べかたが楽しめるのも、多くのお客さんがハマる理由ではないでしょうか。

代表の盛谷さんによると、いつも自分の好きな「ぶに」を食べるかたと、いろいろな「ぶに」を試すかたに分かれるそう。

ぜひ、盛たにで名物の「ぶに」を食べてみてください。
そして自分の好みの「ぶに」を見つけてみてはいかがでしょうか。

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