セバスチャン・ローブ、ダカールラリー“新記録”ステージ6連勝達成! アル-アティヤは連覇に王手

 1月14日、ダカールラリーの競技13日目のステージ13が行われ、レッドブルカラーのプロドライブ・ハンターT1+をドライブするセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム)が6ステージ連続でのベストタイムを刻んだ。WRC世界ラリー選手権の“レジェンド”によるステージウインは今大会7度目。6ステージ連続優勝はニューレコードとなっている。

 14日(土)、選手たちは前日に行われたステージ12でエンプティ・クォーターでのマラソン・ステージを終え、最終日を前にした総距離675kmのステージ14に臨んだ。サウジアラビア南東部のシャイバから北西に進み、東部のアル・フフーフに向かうルート上に設定されたスペシャルステージの全長は154kmだ。

 ラリー中盤に設定された休養日前のステージ8から13日(金)のステージ12まで、怒涛の5連続ステージウインを果たしたローブ。総合2番手につけるWRC元9連覇王者の勢いはラリーの最終盤でも衰えを知らず、エンプティ・クォーターでの最後の戦いとなったこの日も序盤からライバルたちをリードし、そのまま最速タイムでフィニッシュしてみせた。

「2番手のポジションを固めたかった。(W2RC世界ラリーレイド選手権の)チャンピオンシップのポイントも重要なのでプッシュした」と語ったローブ。

「視界の問題で砂丘をジャンプするのは大変だった。けれど砂の上では良いフィーリングで強いペースを作ることができ、自信があった。だから、崩れそうな砂丘に気をつけながらアグレッシブに走ることができた。素晴らしいね」

 これでローブは6ステージ連続優勝を果たし、前日にタイで並んだ1989年にアリ・バタネンが記録したレコードを更新している。しかし残念ながら総合首位との差は依然として大きく、ローブのダカールラリー初優勝が実現するには厳しい状況にある。

 ステージ13をローブから5分28秒遅れの2番手でフィニッシュしたナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing)は、ラリー最終日を前にローブとの間に1時間21秒42秒もの貯金を築いている。15日(日)の最終ステージで大きなトラブルさえなければ、2022年大会に続く2連覇を果たすことになるはずだ。

 TOYOTA GAZOO Racingは、総合2番手のローブ、同3番手につけている“ダカールルーキー”のルーカス・モラエス(オーバードライブ・レーシング)をアル-アティヤとの間に挟み、ジニエル・ド・ヴィリエールとヘンク・ラテガンの両名が4番手、5番手でトップ5に並んでいる。

セバスチャン・ローブ(左)とコドライバーのファビアン・ルルカン(右) ダカールラリー2023
ダカールラリー2連覇に王手をかけたナッサー・アル-アティヤ(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2023
ダカールラリー初出場での表彰台獲得が目前に迫るルーカス・モラエス(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2023

■二輪部門のトップ2は、わずか12秒差で最終日へ

 激戦が繰り広げられている二輪部門では、総合3番手のケビン・ベナビデス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)が今大会初のベストタイムを記録し、同時に総合2番手に浮上した。

 ステージ12を終えた段階で部門トップに浮上したトビー・プライス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)は、チームメイトから2分28秒遅れてのステージ5番手に。この結果、首位を守るプライスと僚友を追うベナビデスのタイム差は12秒となり、どちらが勝ってもおかしくない状況となっている。

 なお、この日トップから3分31秒遅れステージ7番手に終わったスカイラー・ハウズ(ハスクバーナ・ファクトリー・レーシング)は、総合3番手に順位を落とした。しかし首位プライスとのタイム差は1分31秒であり、彼もまた優勝候補のひとりだ。

 日本勢では、新型トヨタ・ランドクルーザー・GRスポーツを投入したチームランドクルーザー(TLC)をアクシデントが襲った。246号車ランドクルーザー300をドライブする三浦昂がステージ101番手で無事にフィニッシュした一方、チームメイトで250号車をドライブするロナルド・バソは、スタート後まもなくターボトラブルが発生した影響でステージ13から退くこととなった。

 アシスタンストラックに牽引されアル・フフーフのビバークに到着した250号車はデイリタイアのペナルティとして15時間20分のタイムが加算され、総合順位は前日までの98番手から109番手に。これに僚友の三浦が110番手で続く。なお、四輪市販車クラスではワン・ツーを維持している。

 トラック部門に日野600ハイブリッドで参戦している日野チーム・スガワラの菅原照仁は、部門総合8番手タイムでエンプティ・クォーターを無事にクリア。総合10番手を維持したまま最終日に向かう。

 第45回ダカールラリー2023は1月15日(日)、いよいよ競技最終日を迎える。ステージ14はアル・フフーフからフィニッシュ地のダンマームを結ぶ417kmのルート上に設定された全長136kmのスペシャルステージで争われる。

ケビン・ベナビデス(KTM 450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023
トビー・プライス(KTM 450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023
二輪部門の総合3番手につけているスカイラー・ハウズ(ハスクバーナ450ラリー・ファクトリー) ダカールラリー2023

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