消費増税は本当に必要なのか?マックに冷凍食品大手も値上げする中、少子化対策の財源巡る発言に波紋

2023年1月、帝国データバンクは上場する食品メーカー主要105社の価格改定動向について調査を行いました。2023年中の飲食料品における値上げ品目数は、4月までに予定を含め累計7,390品目を数え、特に来月は4,283品目となっています。


まだまだ続く値上げラッシュ

ファストフードチェーン大手の日本マクドナルドは2023年1月16日(月)から全体の約8割の品目の値上げを決定しました。同社の値上げには消費者も関心が高いようで、このリリースを取り上げた私のTwitterのインプレッションは130万を超えました。バーガー類単品、セットメニューなど、ドリンク類は10~50円、最大の変更値幅は150円程度となります。理由として原材料価格の高騰や人件費、物流費、エネルギーコストなどの上昇、および為替変動の影響としています。

昨年10月の値上げラッシュは記憶に新しいですが、来月も多くの商品の値上げが控えています。最も多いのは私たちに身近な食品類で特に加工食品が全体の約半数を超えています。主だった企業を挙げるとニチレイ、日本水産、マルハニチロ、ニッスイ、紀文、シマダヤ、テーブルマーク、永谷園、キッコーマン、カゴメ、ブルドックソースなどスーパーでよく見かける企業です。これらのメーカーは家庭用、業務用の各商品で3~30%の上げ幅になっています。

飲料メーカーはアサヒ飲料、メルシャン、ポッカサッポロなどで5~12%の上げ幅です。雪印メグミルクは乳飲料、果汁飲料、野菜飲料、乳酸菌飲料、デザートなど56品で3.5~26.1%値上げと、上げ幅の大きさが目立ちます。山崎製パンは、今年1月から「薄皮シリーズ」の内容量を変更すると発表して5個入りから4個入りになりました。今回はランチパック(ピーナツ・たまご・ツナマヨネーズ)の3品を平均で4.7%値上げする予定です。

飲食品の値上がりは家計に直接響くだけに、更なる値上げは避けて頂きたいところです。

大手企業が賃上げ努力も…水を差す消費増税発言

一方、ファミリーレストラン大手のサイゼリヤは値上げをしないと発表しました。原材料価格の高騰が続く中、売上がコロナ前の95%まで回復していて、業務の効率化を進めることで、価格の維持は可能としました。

またユニクロを展開するファーストリテイリングは国内従業員の年収を最大で約4割上げると発表しました。物価高に直面する従業員の生活に配慮する考えです。さらに、サントリーHDは月収で6%の賃上げを検討しています。三井住友FG、大和証券なども春闘で賃上げの検討を表明しています。キヤノンは1月からベースアップを実施、セコムは昨年2022年11月から物価高に応じた臨時のベアを実施しています。

この様に企業側が努力する動きを見せている中、岸田総理は防衛費増額の財源として、2027年度には1兆円あまりを増税で確保し、来年度から5年間で43兆円に増額する方針です。内訳は2022年度当初予算5兆4,000億円から1.6倍超に相当し、年間では最終年度の2027年度に8兆9,000億円程度になるとしています。

また少子化対策の財源を巡り自民党甘利明前幹事長からは、出演したテレビ番組で消費増税を検討する発言が出たと報道されています。この発言にはかなりネガティブに反応した方が多かったのではないでしょうか? 私もその一人です。この様な政府の状況で、子どもを生み育てたいと思う人が本当に増えるのか、疑問に思わずにはいられません。

せっかく企業側がベースアップの努力を講じようとしているにも関わらず、政府が消費増税を唱えていては、景気悪化は避けられないと感じます。なお、甘利氏は自身のTwitterで「断片的事実を繋ぎ合わせる報道」であり「ミスリード」と報道内容を否定しています。


防衛費や少子化対策は必要と感じますが、2022年度の一般会計税収が68兆3,500億円余りと過去最高だった2021年度実績を上回り、当初の見通しの税収65兆2,350億円を、3.1兆円上振れする見込みとなっています。過去最高の税収の使い道の検討も行われるべきではないかと思います。

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