希少植物 芽吹き願って 川南湿原で「草出し」

前日の雨を含み、重くなった枯れ草を川南湿原から運び出す参加者

 国指定天然記念物の植物群落が広がる川南町の川南湿原で16日、春の芽吹きと4月の開園に備えた環境整備活動が行われた。県内外のボランティア、同湿原を守る会や同町教委の職員ら計約40人が、枯れ草を湿原の外に次々と運び出した。
 参加者はあらかじめ刈られた草をシートにくるみ、運搬車両に運び込んだ。草は前日の雨を含んで重くなっており、足場が悪い中で汗をかきつつ黙々と作業していた。守る会によると、枯れ草を取り除き日当たりを良くすることで発芽を促すのが狙い。「草出し」をせずに焼いてしまうと、灰が肥料となって希少な植物の生育に影響を及ぼすという。
 国内で同湿原にのみ自生するヒュウガホシクサなどの保全を7年間研究している、東京農業大農学部植物多様性学研究室の高岸慧(けい)さん(28)=博士課程後期=は「温暖な地域の低地にある湿原は国内でも貴重で、地元の支えがあって持続できる。川南湿原の価値や守るべき理由をより多くの人に理解してもらいたい」と話した。

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