沖縄とパラオ、友好関係強化へワーキングチーム 農水産業振興や人材交流の具体化を推進 

 沖縄県の玉城デニー知事は16日、訪問先のパラオ共和国のグスタフ・アイタロー国務大臣と会談し、昨年8月に締結した友好関係強化に関する覚書(MOU)を具体的に進めるため、双方の間でワーキングチーム(WT)を設置することで合意した。農水産業の振興やインフラ整備、人材交流などの分野で協力を図る。玉城知事は、パラオの周辺海域における沖縄漁船の操業継続への配慮も求めた。
 昨年8月に締結したMOUでは双方の技術や人材、資源を活用して島嶼(とうしょ)地域の課題解決に取り組むことを確認した。県によると、アイタロー氏はWT設置について「MOUが具体的に進むことは喜ばしい」と述べ、インフラ整備のほか若者の交流に関する協力にも言及。玉城知事は「琉球大学などと連携し進めていきたい」と応じた。
 パラオ訪問には県内の漁業関係者や環境、土木などの企業、団体の関係者ら約30人も同行している。アイタロー氏や主要閣僚との会談では、県内市町村とパラオ16州のいずれかとの間での姉妹都市締結や、直行便就航などにも話題が及んだ。
 沖縄とパラオは、戦前に出稼ぎなどで沖縄から多くが移住するなど歴史的、文化的に関わりがある。パラオの排他的経済水域(EEZ)内では、同国が外国漁船の操業を制限した2020年以降も沖縄の漁業関係者がマグロはえ縄漁を行っており、県内の漁獲高に貢献している。県はMOU締結で県内の漁船が継続的に操業を行えるよう連携を深めたい考え。
 玉城知事ら一行は16日、現地の戦没者慰霊碑や日本大使館を訪れたほか、パラオ議会の上下両院の議長らとも面会した。
(當山幸都)

© 株式会社琉球新報社