甘利明・自民党前幹事長インタビュー 当面の消費税増税には慎重な考え 岸田政権への評価は

「新しい資本主義」の実現に意欲を示す自民党の甘利明前幹事長=国会内

 自民党の甘利明前幹事長(衆院比例南関東)は16日までに神奈川新聞社のインタビューに応じ、岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の実現に意欲を見せた一方、少子化対策の財源を賄うための当面の消費税増税には慎重な考えを示した。

 ─岸田政権の評価は。

 「岸田氏は決められない総理との評価だったが、これまで誰もがなるべく避けてきたことを腹をくくって決断している。原発政策の転換や防衛費の増額方針を打ち出したことは評価したい」

 「国民に対するプレゼンをもうちょっとうまくやればいいのに、という思いはある。安倍内閣や菅内閣とは違い、官邸の危機管理がちょっと弱いことも心配だ」

 ─新しい資本主義とアベノミクスのつながりは。

 「アベノミクスが目指した次のフェーズが新しい資本主義『キシダノミクス』で、好循環を生む次のステージとなる。アベノミクスは原資を生み出した。今度はその原資を分配し、成長の源にすることが大事だ」

 「分配に当たり市場の冷酷な原理に全て委ねるのではなく、政府が市場に介入し、目指すべき姿に本来の循環をしていく。競争しても大丈夫なように投資を入れてゆく。こうした新たな経済成長の原理原則を個々の経営者だけでなく経済界全体が共有してほしい」

 ─雇用環境は変わるか。

 「企業に終身いられるように雇用を守ることから、新しい資本主義では付加価値の高い企業に移動して守るように変わらなければならない。雇用そのものを引き留めるには、付加価値を生む投資が必要だ。労働組合は従来の考え方から、移動して雇用を守り賃金を上げていくことへの転換期になるかもしれない」

 「付加価値の高い企業をつくるスタートアップ(新興企業)を促すことと、労働者がさらに高い職業技術を身に付けるリスキリングは対であり、どちらも大事だ。国立大学に『知識産業』への変身を求めた大学改革や、海外の大学などと連携し、スタートアップの拠点形成を目指す『グローバル・スタートアップ・キャンパス構想』の実現を進める。明日は今日よりきっといいという日本にしたい」

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