夫に逆らえなくて…骨折した生後3か月の娘、病院に連れて行かないと決めた母 顔骨折でミルク飲めず娘死亡

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県美里町で2020年9月、夫と共謀して生後2~3か月だった娘に適切な医療処置をせず死亡させたとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた、同町関、無職の母親(30)の裁判員裁判の初公判が16日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。母親は保護責任者遺棄致死罪の起訴内容について、「認めます」と述べた。

 冒頭陳述で検察側は、娘が死亡する1カ月前ごろから哺乳量が減少し始めたと指摘。娘は「下顎骨骨折により、哺乳が困難になった」とした。また、母親は、病院に連れていくことを夫に説明したが拒まれると「母親もそれを了承した」と述べた。

 一方弁護側は、娘を病院に連れて行った方がよいことは分かっていたが、夫に逆らえなかったと主張。何度も病院に連れて行った方がよいと夫に伝えたが、「『虐待を疑われる』などと言われた」とし、夫の言うことに従ったと説明した。

 起訴状などによると、母親は夫(31)と共謀し、20年8月ごろ、娘が下顎骨骨折に伴う下顎歯槽挫裂創により哺乳困難になり、同年9月上旬ごろには、肋骨(ろっこつ)骨折していたにもかかわらず、医療処置などの適切な保護を与えず放置し、同年9月11日ごろ、低栄養失調に伴う免疫力低下によって生じた菌血症による全身機能障害により死亡させたとされる。

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