【Catch the Moment ③】今季のスケジュール発表から狙っていた一枚

大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

今年のオールスター明け、今シーズン10勝目、ベーブ・ルース以来104年ぶりとなる二桁勝利二桁ホームランを目指してアトランタでマウンドに上がった大谷選手。そんな歴史的勝利の試合を撮影するというミッションはもちろんだが、実は、このブレーブスの本拠地トュルイスト・パークで密かに狙っていた写真がある。

エンゼルスが本拠地としているカリフォルニアと違って、アトランタが位置するジョージア州は湿度が高い。晴天と入っても上空に雲があることが多く、夕暮れ時、その雲が赤く染まる。その雲を背景に大谷選手を撮影する。今シーズンのスケジュールが発表になった時から狙っていた。

How to “Catch the Moment”

そうは言っても自然現象はコントロールできない。雲が厚すぎてもダメですし、綺麗に赤く染まっているタイミングで大谷選手がフィールド上にいるかもわからない。

10勝を無事達成したこの日は球場上空は雲が厚く、遠くの方にわずかに見える雲が赤紫色に。残念ながら「狙いどおりのカット!」とはいかなかったが、それでもアメリカの球場の空は様々な表情を見せて絵になる。そんな雰囲気を感じさせるには十分な一枚にはなっているように思う。

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