【Catch the Moment ⑧】20年以上撮り続けた選手

大きなフィールドで、一球一球何が起こるか分からないのが野球。試合中の最高の瞬間を捉えるのは困難である。その中20年以上MLBカメラマンとして活躍する田口有史がこれまで捉えた「最高の一瞬(Moment)」を一話一枚ずつ紹介する。

今シーズン限りでの引退を表明しているアルバート・プホルス。2001年にデビューし、イチローさんと共に新人王に輝くと、06年・11年とセントルイス・カーディナルスでワールドシリーズを制覇。エンゼルスに大谷選手が移籍した際には、そのエンゼルスに在籍しており、大谷選手がスタンスを参考にしたことでも有名な将来の殿堂入りが確実視されているスラッガー。

20年以上撮り続けた選手がそのキャリアを終える。今シーズンの序盤にそのプレーする姿を撮影したものの、本拠地ブッシュスタジアムでの姿を撮っておきたくてセントルイスに撮影に向かったのは8月中旬。

How to “Catch the Moment”

ブッシュスタジアムを象徴するスコアボードのカージナルスのロゴとプホルスを一枚の写真に収まるようなポジションから撮影しようと思っていたら、空にうっすらと、いい感じで雲が出ていた。

ダグアウトからフィールドへ出る階段に佇むプホルス。スコアボードよりも、夕焼けに赤く染まる雲が、彼から出ているオーラのように感じて、縦位置で、オーラが立ち上っているような雰囲気になるように撮影した。

雲が赤く染まるのはほんの数分。そのタイミングとプホルスがそこに立ったタイミングに感謝した瞬間だった。

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