スタジアムシティ「総事業費800億円台に」 リージョナルクリエーション長崎・岩下英樹社長

「ブレーキを踏まずに地域創生をやりきりたい」と語る岩下社長=長崎市、ジャパネットホールディングス万才町オフィス

 長崎市幸町で来年開業を目指す大型複合施設「長崎スタジアムシティプロジェクト」の企画運営者、リージョナルクリエーション長崎(長崎市)の社長に岩下英樹氏(41)=佐世保市出身=が元日付で就任した。岩下社長は物価高を背景に膨らむ総事業費を800億円台に抑えたいとした。

 -昨年3月から、サッカーJ2のV・ファーレン長崎とバスケットボールB2の長崎ヴェルカの両社長を兼務しスポーツ事業に専念していたが、1年足らずで同プロジェクトに“復帰”した。抱負を。
 V長崎はシーズンが終わって区切りがよかったが、ヴェルカは真っ最中。今季が終わるまでやりきりたかった。だが来年に開業を控え、時間的に迫られていることも増えてきている状況。両クラブの代表を兼任し経営を経験した私だからこそ、その視点を生かしてやり抜きたいと思い、腹をくくった。この難しい局面をやりきれば、先につながっていく。

 -工期は順調か。
 全体の10%くらい進んでいる。多くのスタジアムやアリーナは行政主体で整備されるが、これだけ短期間(着工から約2年)で完成させる例はほぼない。(通常)この2~3倍はかかる。施工会社の努力に感謝したい。

 -課題は。
 もともと総事業費500億円程度を見込んでいたが、原材料高などで、今は約900億円に膨らむ予定だ。事業採算性で言うと、800億円台に抑えたい。必要とする機能は諦めずに、うまく地道にコストを削っていく。
 サービスや楽しみ方などソフト面も詰めていく。商業棟には地場の事業者と「新しい風」をバランスよく配置したい。目玉テナントは「長崎初出店」で県民に喜んでもらえると思う。オフィス棟は地元事業者がどんどん入居してほしい。
 3月までに、スタジアムの座席を再現したショールームを、V長崎の公式グッズ店「V・ファーレンポート浦上店」が入居する長崎市目覚町のビル内に開設する予定。企画席の販売もスタートしたい。

 -長崎駅や浦上駅からの動線をどう整えるか。
 県や市と協議し、両駅から歩くと楽しいようにしたい。JR九州とは定期的に意見交換し、一帯の整備を一緒にしようと話をしている。

 -理念に「地域創生」を掲げている。
 ビジネスと地域創生が半々(というスタンス)。ビジネスだからといって成果を突き詰めすぎてはならない。地域創生は壮大な事業なのでブレーキを踏んではいけない。パートナー企業や近隣の皆さんと一緒にうまく地域創生の機運をつくれるかどうかも大事になる。

 -地元経済団体との連携は。
 これまで長崎商工会議所の長崎スタジアムシティ特別委員会にオブザーバー参加していた。昨年末から正式に議員・委員となった。長崎市の経済界に仲間として迎え入れてくれたのは本当にありがたい。「楽しみにしている」という声がたくさん出てきている。市民の盛り上がりも成功の鍵になる。乗っかってほしい。

 -もしV長崎がJ2のままでも採算は取れるか。
 総合的に見ると、J2だと厳しい。だがホームで試合があるのは1年間で約20試合。日常でワクワクできる施設にするので、J2でも成立する事業だ。


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