ネット社会やAIについて考える展示、1月29日まで YCAMで「アンラーニング・ランゲージ」など

 YCAM(山口情報芸術センター、山口市中園町7)で1月29日(日)まで、2020年に開始した「鎖国[WALLED GARDEN]プロジェクト」の集大成ともいえる作品「アンラーニング・ランゲージ」が公開されている。

 このプロジェクトは、日本にインターネットが普及して約20年という節目に、情報とインターネットのこれからを考えようと始められた。ネットの普及した現代における個人情報とプライバシーのあり方、ネットを通じた情報の受け取り方とそれに基づいた行動の未来などについて探求してきた。

 「アンラーニング・ランゲージ」は、語りかけてくるAI(人工知能)に対し、言葉や身振りで対話していく参加型のパフォーマンス作品だ。1回(約30分間)の参加者は2人から7人で、AIが人の振る舞いや表情を観測してデータを分析。AIとのコミュニケーションを通じて、人間とAIとの違いを見出していく。「AIにはない人間の資質とは何か」を問いかける作品だ。上演時間は、平日が午後0時半、1時半、2時半からの3回で、土・日・祝日は午前10時半から午後5時半までの間。

 「アンラーニング・ランゲージ」の関連イベント「アンインテンデッド・エミッションズ」もホワイエで公開中。これは、スマートフォン等モバイルデバイスのWi-Fi「自動サーチ機能」によって自動的に共有されるユーザーデータを分析し、観客が過去に滞在した場所を推測して地図画面に映し出すものだ。ユーザーの明示的な同意がないままに情報が取得されている様子を目の当たりにすることができる。

▲「アンインテンデッド・エミッションズ」の画面

 同プロジェクトにおけるこれまでの「アーカイブ展示」も実施中。これまで開催してきたワークショップの内容や、インターネットの今日的なトピックのひとつ「監視資本主義」について紹介している。さらに「木澤佐登志のワクワクどうぶつ占い」は、ネットの使い方に関する質問にタブレット端末で回答していくと、自分とネットとの関係性を動物で表現してくれる。この作品は、ネットでも公開(https://sakoku-bbs.ycam.jp/)されており、自宅などでも体験できる。

▲「鎖国[WALLED GARDEN]プロジェクト」アーカイブ展示

 また、ワークショップへの参加者も募集中。「ネットにくらす、わたしのひみつ」(1月21日と22日の午後1時~4時)は、情報の発信者と受信者、双方の立場から安全なインターネットについて考える。「ギャラリーツアー」(1月28日午後4時~4時40分)は、プロジェクトにかかわったスタッフと作品を巡る。「サンカクトーク」(1月29日午後4時~6時)は、作品と自分と他者の「三者」を行き来しながら対話をおこなうイベントだ。

 参加料金は、「アンラーニング・ランゲージ」は500円で、他はすべて無料。申し込み・問い合わせはYCAM(TEL083-901-2222)へ。

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