声優・中津さんと朗読劇縁で交流 後楽館高演劇部 技や職業意識学ぶ

将来の夢を書いた紙を掲げる高校生たちと交流し笑顔の中津さん(中央)=8日、後楽館高

 声優・中津真莉さんと、後楽館高(岡山市)の演劇部との交流が続いている。同市のNPO法人が主催し、中津さんが主演する「福祉の朗読劇」に部員たちがキャストやスタッフで参加したのがきっかけ。声優や演劇関係の仕事を志す生徒もおり、プロの技や職業意識を学ぶ機会になっているようだ。

 中津さんは10代の頃から女優やモデルとして活動し、2010年に声優として本格デビューした。テレビアニメ「銀河へキックオフ!!」「キングダム」やゲーム化もされた「さくら荘のペットな彼女」「咲―Saki―全国編」など多くの作品で活躍。発達障害の子ども向け教育番組など福祉分野の仕事を手がけてきたこともあり、朗読劇を企画したNPO法人「チーム響き」が出演を依頼した。

 障害や病気、福祉に理解を深めてもらう朗読劇は、これまでに2作品を上演した。第1弾「幸ある道」(20年)は、けがで足が不自由になった女子高生と全盲の少年の恋愛物語。第2弾「絆の糸」(21年)は白血病の女子高生が友情に支えられ、前向きに生きていく姿を描いた。

 いずれもチーム響きの阿部磨呂理事長(25)が脚本を書いたオリジナル作品。中津さんはメインキャスト「山本幸子」役を務め、後楽館高の演劇部員らが共演した。ほかにも多くの高校生、大学生らがボランティアスタッフとして運営を支えた。

 中津さんを招いた交流会が8日、後楽館高であり、同校と明誠学院高(岡山市)の生徒、チーム響きのメンバーら15人が集まった。

 幼い頃に大病を患い、入院中にアニメを見て笑顔になれたことから声優を志したという中津さん。生徒たちに将来の夢を聞き、「夢を語り続けていたら、必ずその道に乗っていける。失敗も経験。いろんなことに挑戦して、自分の中に引き出しをたくさん持つことが大事」と呼びかけた。

 生徒たちと台本の読み合わせもして、ボイストレーニングのポイントや自身の役作りの方法を紹介した。

 後楽館高演劇部部長の小林桜さんは「普段の声からきれいで、豊かな感情表現に圧倒される。技術を学びたい」と言い、中津さんは「皆さんとの交流に刺激を受けている。真っすぐな気持ちを伝えてもらい、私も初心に戻れます」と話した。

 第3弾の朗読劇は7月30日、岡山市内で上演予定。過去2作品のDVDも販売している。問い合わせはメール(info@teamhibiki.com)。

福祉の朗読劇の脚本を書いた阿部理事長(右)と交流会を楽しむ中津さん
台本の読み合わせではプロの技を披露
交流会参加者と記念撮影

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