西京シネクラブが異なる国の4作品を上映 1月22日と28日に

▲「ドライビング・バニー」©2020 Bunny Productions Ltd

 1月22日(日)と1月28日(土)に、西京シネクラブによる映画上映会が、山口県教育会館(山口市大手町2)で開かれる。日本、ロシア、ニュージーランド、韓国の映画4作品が上映される。    

 1作品につき、前売り券は一般1500円(電話予約可、TEL083-928-2688)。当日券は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。

    

 「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん」 

 老々介護の夫婦を追ったドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえりお母さん」(2022年、日本)は、1月22日(日)午前10時半から上映される。 

 広島県呉市出身の監督・信友直子さんが認知症の母文子さんと、その母を介護する父良則さんの日常を記録した映画。2018年の前作「ぼけますから、よろしくお願いします。」の続編だ。前作では、87歳の文子さんが認知症になり、良則さんが95歳で初めて家事を覚えるといった前向きな姿が描かれ、令和元年度文化庁映画賞、文化記録映画大賞を受賞。全国で20万人の観客を集めるなど高い評価を得た。     

 今回の作品は夫婦のその後を伝える。父は家事全般を取り仕切れるまでになったが母の認知症はさらに進行し、脳梗塞(こうそく)を発症したため入院生活が始まる。父は母に面会するため、歩行車を押しながら毎日1時間かけて見舞いに足を運び、いつか母が帰ってくる日のためにと98歳にして筋トレを始める。その後、一時は歩けるまでに回復した母だったが新たな脳梗塞が見つかり、病状は深刻さを増す。そんな中、2020年3月に新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大。病院の面会すら困難な状況に―。    

 「人が生きて老いてゆく先には、必ず死と別れがある。でも人生の最終章は悲しいだけではない。お互いを思いやり、かわす笑顔もあった。今回もまた、誰もが自分のこととして感じてもらえる物語になったと思う」と、信友監督。

    

「親愛なる同志たちへ」

 旧ソ連で起きたデモ弾圧事件「ノボチェルカッスクの虐殺」を再現した「親愛なる同志たちへ」(2020年、ロシア)は、1月22日(日)午後1時からと4時から上映。 

 第77回ベネチア映画祭(2022年)で審査員特別賞を受賞。第93回アカデミー賞国際長編映画賞にロシア代表作として出品され、最終選考15作品に残った作品だ。

▲「親愛なる同志たちへ」© Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020

 1962年6月1日、ソ連南部ノボチェルカックスの機関車工場で生活に困窮した労働者たちが大規模なストライキを起こした。危機感を抱いたフルシチョフ政権は、ストライキの鎮静化と情報流出を防ぐために現地へ最高幹部を派遣。翌日、約5000人のデモ隊や市民に対して無差別に銃撃が行われた。周囲がすさまじいパニックに陥る中、熱心な共産党員で市政委員も務めるリューダは、18歳の愛娘スヴェッカの行方を捜す。長らく忠誠を誓ってきた共産党への疑念に揺れるリューダが必死の捜索の果てにたどり着いた真実とは―。    

 監督は、「暴走機関車」(1985年、アメリカ)などで知られるロシアの巨匠アンドレイ・コンチャロフスキーが務めた。

    

「ドライビング・バニー」

 批評家たちの賛否を数値化して示す映画評論サイト「ロッテン・トマト」で支持率100%を獲得した「ドライビング・バニー」(2021年、ニュージーランド)は、1月28日(土)の午前10時半、午後4時、7時からの3回上映。 

 第20回トライベッカ映画祭(アメリカ)で審査員特別賞を受賞。さらに、テッサロニキ(ギリシャ)、ストックホルム(スウェーデン)、メルボルン(オーストラリア)、エジンバラ(イギリス)など、八つの国際映画祭に出品され、世界中で称賛されている。     

 主人公は40歳の女性バニー。夫殺しの罪があり、妹であるグレース夫婦の家に居候をしている。犯罪歴があるため、二人のわが子とは一緒に住めず、車の窓拭きをして日銭を稼いでいる。彼女にはある夢があった。娘の誕生日までに妹の家を出ていき新居へ引っ越し、息子も呼び寄せて子どもたちとの生活を再開させることだった。ある日、妹の新しい夫ビーバンが継娘のトーニャに性的暴力を振るう光景を目撃。怒りが抑えられなくなったバニーはビーバンに立ち向かったところ家を追い出されてしまう。「家なし、金なし、仕事なし」と、運の尽きたバニーだが、夢を実現させるためビーバンの車を盗み、トーニャを連れて娘の "奪還作戦"のためアクセルを踏むが―。    

 主演のバニー役は、「ベイビーティース」(2019年、オーストラリア)でオーストラリア・アカデミー賞助演女優賞を受賞したエシー・デイビス 。トーニャ役は、「ジョジョ・ラビット」(2019年、アメリカ)や「ラストナイト・イン・ソーホー」(2021年、イギリス)で注目される若手実力派のトーマシン・マッケンジーが務めた。監督は、ニュージーランド在住の中国人映画監督ゲイソン・サバット。1995年、カメラマンとしてキャリアをスタート。 2004年にテレビCMディレクターを経て、監督に。本作で長編映画デビューを果たした。

   

「キングメーカー」

 昨年12月に続き上映される「キングメーカー 大統領を作った男」(2021年、韓国)は、1月28日(土)午後1時から上映。  

 市民運動家出身で、後に第15代韓国大統領となった金大中(キム・デジュン、1924~2009年)と、彼の選挙参謀だった厳昌録(オム・チャンノク)の実話をもとに韓国大統領選の裏側を描いた、社会派サスペンス作品だ。

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