阪神・淡路大震災から28年「避難場所はどう決める?」「備蓄は十分?」 防災に関する疑問を専門家に聞いてみた【みんなのハテナ】

1月17日は28年前に阪神・淡路大震災が発生した日です。今回の「みんなのハテナ」は、皆さんの「防災」に関する疑問についてお伝えします。

「避難場所を決める基準が知りたい」 真庭市 なゃんたん(50)

この疑問について香川県危機管理課で聞いてみました。

(香川県危機管理課/岡洋樹 課長補佐)
「そもそも避難所は大きく分けて2種類あります」

その2種類が「指定緊急避難場所」と「指定避難所」です。

「指定緊急避難場所」は一時的に難を逃れる場所、「指定避難所」は危険がなくなるまで一定期間滞在する場所で、両方を兼ね備えている場合も多くあります。これらは「災害対策基本法」に基づき市町村が指定しています。

避難所を決める基準は――。

(香川県危機管理課/岡洋樹 課長補佐)
「住民等にきちんと開放されること。要するに、いざそこに逃げた時に、門とか扉が閉まりっぱなしでは避難所になりませんので」

また、適切なスペースがあることや、物資が搬入しやすい場所にあることなども基準とされています。

このほか、安全性についても基準があります。津波や洪水の場合、指定緊急避難場所は原則、『浸水想定区域の外』にある施設でなくてはいけません。

ただし……。

(香川県危機管理課/岡洋樹 課長補佐)
「地域によったら、この辺全部浸水想定区域だというケースがあって、原則だけで考えたらどこも避難所(指定緊急避難場所)設置できないというところも多々あります」

そのため「例外」として『浸水想定区域の中』でも、想定される水位より高い場所に避難できるスペースがあれば指定緊急避難場所に指定できます。

(香川県危機管理課/岡洋樹 課長補佐)
「最悪3mの浸水が想定される区域だとしたら、例えば4階建ての小学校だったら、ここだったら大丈夫みたいな感じで、指定緊急避難場所は県内すべて指定されている状況です」

一方、この「指定」について防災に詳しい香川大学の長谷川修一特任教授は――。

(香川大学/長谷川修一 特任教授)
「一旦そこに避難したら、浸水して孤立して、かえって『助けを求めたい』という気持ちになるかもしれない」

また、長谷川さんは避難するルートにも注意が必要だとしています。

(香川大学/長谷川修一 特任教授)
「なるべく川を橋を渡らないという避難方法がいいと思います」

大雨の時に川が氾濫する恐れがあるほか、地震の時にも橋が通れなくなるかもしれません。

(香川大学/長谷川修一 特任教授)
「地震の後、川を渡って避難しようとすると、川の橋の所で段差ができるんです」

地震で地盤が液状化すると、基礎がしっかりとしている橋と周りとで段差が生まれる可能性があります。長谷川さんはハザードマップを確認するなどして、どこに・どのようなルートで避難するのかを改めて考えてほしいと呼び掛けています。

「避難所に数日過ごせるほどの毛布や水が備蓄されているのか気になります」 高松市 りーえ(48)

香川県のまとめでは2022年4月時点で、県内には663カ所の「指定避難所」があります。

県は最大クラスの南海トラフ地震が起きた時には、香川県全体で11万9000人が避難すると想定していますが……。

(香川県危機管理課/岡洋樹 課長補佐)
「全ての避難所にそれぞれ想定される分だけ備蓄されているかというと、そういうわけではありませんので、大規模災害発生時は備蓄されていない避難所にも、そこに避難者がいらっしゃる場合には、速やかに備蓄物資を輸送する必要もあります」

長谷川さんは家庭での備えの大切さを訴えます。

(香川大学/長谷川修一 特任教授)
「何も避難所は基本的に整備されてないと思った方がいいと思います。避難所というのはホテルじゃなくてキャンプなんですよ。キャンプ手ぶらで行きますか」

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