長崎県が初の「医療ひっ迫警報」 医療現場の感染増、知事「今が正念場」

 長崎県は17日、新型コロナウイルスの感染急拡大で県内の救急外来や入院病床が逼迫(ひっぱく)しているとして、「医療ひっ迫警報」を出した。大石賢吾知事は会見で「本県の医療を守るため今が正念場。県民一人一人が理解と協力を」と逼迫抑制への協力、感染防止対策の徹底を呼びかけた。
 県民に厳しい状況を認識してもらうため、医療現場から要請を受けて初めて発令。症状が軽い場合は救急外来ではなく、平日の一般診療を受けたり自己検査をしたりして自宅療養することや、新たな入院患者を受け入れられるよう病状によっては早期退院をお願いすることへの理解を求めた。
 一方、福祉サービスや公共交通、教育などほかの社会機能は深刻な状況にないとして、県の感染状況を4段階で示すレベルは「2」を維持する。
 県によると、確保病床使用率は1月5日公表以降、レベル3の基準「50%」を超過し続けている。16日公表時点で384人が入院し使用率は56.4%。これに加え、別の病気で既に入院している患者の感染も広がり、そのまま一般病床で療養する感染者も875人に上る。
 主なコロナ受け入れ医療機関44施設で医療従事者の感染や濃厚接触が増え、10日時点で438人が休業。季節性インフルエンザの感染者数は昨年末と年始の1週間比較で約7倍に急増した。これらの要因が重なり救急外来は逼迫し、長崎市消防局管内の救急搬送困難件数は昨年12月と比べて約3倍、佐世保市消防局管内は約2.3倍になっている。
 コロナ禍が長引く中で医療従事者の離職も増えている。関係者からは「入院患者の増加やスタッフの感染で体制維持が難しい」「疲労が限界にある中で懸命に努力しているが、患者やその家族から厳しい言葉をもらうこともあり、精神的にも厳しい状況」などの声が寄せられているという。


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